マンダリン・オリエンタル、サステナビリティ戦略を統合する新プラットフォーム「MO.RE」を始動

マンダリン・オリエンタルは、サステナビリティに関する新たなプラットフォーム「MO.RE」を立ち上げた。「レジリエンス(回復力)」「リコネクション(再接続)」「リジェネレーション(再生)」の3つを柱とし、気候変動リスクへの対応や脱炭素化、生物多様性の保全、職業教育、ゲスト体験の充実など、幅広い領域で取り組みを進める。

「MO.RE」は、同グループのラグジュアリー・ホスピタリティ事業全体にサステナビリティを組み込むためのプラットフォームであり、企業としての行動指針を示すマニフェストでもある。事業の成長やホテルの開発・運営に加え、ゲスト体験の設計にもサステナビリティの視点を反映させることを目的としている。
同社は、事業と旅行先となる地域の双方で気候変動などへの対応力を高めるとともに、人々と自然、文化とのつながりを深め、地域社会や生態系に長期的なプラスの影響をもたらすことを目指す。これまでの実績として、過去15年間でスコープ1およびスコープ2の二酸化炭素排出量を33%削減したほか、同期間に従業員が行ったボランティア活動は累計8万時間を超えている。

事業全体を導く3つの柱

「MO.RE」は、ホテルのライフサイクル全体にわたる意思決定を支える、相互に関連した3つの柱で構成される。投資や開発、デザイン、日々の運営からゲスト体験に至るまで、事業活動の各段階にこれらの考え方を反映させる方針だ。

第1の柱「MO.REsilience」は、気候変動に備え、ホテルとその立地する地域のレジリエンスを高めることを目的とする。各ホテルの立地に応じた気候リスクプロファイルの作成や、2050年までのネットゼロ達成に向けたロードマップの策定、スコープ3排出量の可視化などが主な取り組みとなる。

第2の柱「MO.REconnection」は、ゲストや従業員と、自然、文化、地域との結びつきを深めることに重点を置く。家族で参加できるアクティビティや食に関するプログラム、ウェルネス体験などを通じて、滞在先への理解や関心を育むことを目指す。

第3の柱「MO.REgeneration」は、生態系や地域社会、技能、文化遺産への投資を通じて、旅行先となる地域を支援するものだ。生物多様性の保全、職業教育、芸術・工芸の振興、地域社会に焦点を当てた慈善活動などを展開する。

マンダリン・オリエンタル・グループのCEO、ローラン・クレイトマン氏は、同社が長年にわたりラグジュアリー・ホスピタリティ業界におけるサステナビリティの推進に取り組んできたと説明する。同氏によれば、「MO.RE」は従来の活動をさらに前進させ、サステナビリティを事業の周辺的なテーマではなく、中核的な経営課題として位置づけるものだ。

クレイトマン氏は、この取り組みによって事業のレジリエンスや運営パフォーマンスを高めるとともに、ゲストにインスピレーションを与え、ホテルのアイデンティティを形づくる旅行先の環境や文化を守ることを目指すと述べている。また、事業を拡大するなかで、「MO.RE」が今後築きたいビジネスの姿と、将来に引き継ぐべき遺産の方向性を示す指針になるとの考えを示した。

気候変動への備えから地域社会への投資まで

「MO.REsilience」では、各ホテルの立地に応じた気候リスクプロファイルを作成する計画だ。地域固有の気候リスクを把握し、それぞれの状況に合わせて適応策の優先順位を定める。これと並行して、2050年までのネットゼロ達成に向けた新たな脱炭素化ロードマップを策定するほか、サプライチェーンを含むバリューチェーン全体でスコープ3排出量の可視化を進める。

「MO.REconnection」では、ゲストが滞在先の自然や文化に触れる機会を広げる。具体策の一つが、子どもたちに自然環境や生物多様性の保全について学んでもらう「Biodiversity Kids Club」の構想である。また、毎年開催する「MO Family Days」では、従業員とその家族が一緒に体験を共有する機会を設ける。
さらに、各地域の食文化や自然、文化的背景を生かした、没入感のある食体験やウェルネスプログラムも展開する。ホテルでの滞在を通じて、ゲストと訪問先との結びつきをより深めることが狙いだ。

マンダリン・オリエンタルのチーフ・オブ・スタッフ兼サステナビリティ担当グループ・ディレクター、カンデ・カマラ氏は、ラグジュアリー・ホスピタリティの今後について、事業が持つ影響力をより大きな目的のために活用することが重要になると指摘する。
同氏は、「MO.RE」が、個性のある場所や旅行先との深いつながり、ゲストの未来にも貢献するホスピタリティを重視する顧客の意識に応えるため、経営判断のあり方を見直す取り組みでもあると説明する。サステナビリティを経営上の最優先事項とし、パートナーと共有する目標にするとともに、ゲストにとっても喜びを感じられる体験として提供することを目指している。

「MO.REgeneration」では、地域の生態系を守り、回復させるため、優先度の高い生息地の保全・再生に取り組む。また、職業教育やホスピタリティ分野の技能習得を支援し、より多くの人がキャリアを築く機会を得られるよう、教育や就業へのアクセス拡大を図る。
文化面では、芸術・工芸プログラムを通じて、アーティストや職人の活動を支援する。地域に受け継がれてきた文化や技術を「生きた文化遺産」として継承していくことも、この柱の重要なテーマとなる。

さらに、慈善活動プログラム「セレブリティ・ファンズ」では、同グループのアンバサダーと連携し、地域社会の活動を支援する計画だ。
マンダリン・オリエンタルは、グループ共通の施策と各地域に根差したプログラムを組み合わせ、傘下のホテルや事業運営全体にサステナビリティを浸透させていく方針である。「MO.RE」を通じて、環境負荷の低減にとどまらず、地域の自然や文化、人材を支える取り組みを事業の中核に据えようとしている。(出典:Travel Daily News、画像:マンダリン・オリエンタル)

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