アメリカン・イーグル、新学期商戦でスポーツとリアル体験を融合した大型キャンペーンを展開

アメリカン・イーグルは2026年の新学期商戦に向け、大規模なマーケティングキャンペーンを開始した。取り組みはブランド広告に加え、ソーシャルメディア施策、体験型イベント、YouTubeや有料SNSで展開する30秒CMなど、多面的なチャネルを活用する構成となっている。テーマは「ショッピングモール」「キャンパスライフ」「スポーツカルチャー」の3つであり、Z世代との接点をリアルとデジタルの両面から強化する狙いである。

特に注目されるのが、スペイン代表のサッカー選手ラミン・ヤマルとの連携だ。同ブランドは2026年初頭にヤマルと5年間のグローバルアンバサダー契約を締結しており、ワールドカップ優勝直後という絶好のタイミングで新学期キャンペーンを本格始動させた。

CMOのクレイグ・ブロマーズ氏は、綿密なマーケティング計画を用意していても、社会やスポーツ界で起きる出来事に素早く対応し、ブランド体験へ取り込む柔軟性が現代のマーケティングでは重要だと説明している。

ラミン・ヤマルを軸にブランドの話題性を拡大

ワールドカップ優勝を受け、アメリカン・イーグルは即座にデジタル施策を展開した。一時的にブランド名を「Lamine’s Eagles(ラミンのイーグルス)」へ変更し、Instagramではヤマルのファンアカウントを思わせる演出を実施。さらに、タイムズスクエアで放映した広告にCG映像を追加したソーシャルコンテンツなどを公開し、優勝の熱量をブランドコミュニケーションへと転換した。今後もレイバー・デー商戦に向け、ヤマルとの商品コラボレーションや新たなプロモーションを順次投入する予定であり、ブランド側は継続的な話題づくりを進める考えだ。

同社は近年、著名人とのパートナーシップを積極的に活用している。2025年には女優シドニー・スウィーニーとのキャンペーンが大きな話題となり、新規顧客獲得に貢献した。また、カントリー歌手エラ・ラングレーとの企画もヒット曲の人気と相乗効果を生み出している。今回の新学期キャンペーンにも両者が参加する予定である。
ブロマーズ氏は、「ブランドそのものをタレントが定義するべきではない」としながらも、ブランドの価値観と一致する人物との協業はマーケティング効果を大きく高めると説明している。

Z世代はショッピングモールへ回帰、リアル体験を重視

今回のキャンペーンでもう一つの柱となるのが、ショッピングモールを中心としたリアルな顧客体験である。
同社が引用するPwCの調査では、Z世代のショッピングモール来訪者数は前年より57%増加したとされる。コロナ禍を経て、若年層が再びリアルな交流や買い物体験を求める傾向が強まっていることを背景に、アメリカン・イーグルはこれまで以上に店舗イベントへ投資する。

具体的には、店頭イベントや割引キャンペーン、店舗限定デニムの販売を実施するほか、8月初旬には試着とQRコードの読み取りを行った来店者を対象に、「一生分のジーンズ」が当たるキャンペーンも展開する。また、クリエイターにも店舗へ足を運んでもらい、商品紹介やSNSコンテンツ制作を促進する。

同社は、店舗へ足を運ぶ行為は単なる購買ではなく、ブランドとの体験そのものになっていると考えており、リアル空間でのエンゲージメントを重要な競争力と位置付けている。
デジタルとの連携では、「Mall Diaries(モール・ダイアリーズ)」というインフルエンサー主導のSNSシリーズを開始する。ショッピングモールで生まれる偶然の出会いや交流をテーマに、Y2Kブームを取り入れたコンテンツを発信し、Z世代との共感形成を狙う。

さらに8月には、アラバマ大学やオハイオ州立大学など複数の大学キャンパスでもプロモーションを展開。女子学生クラブ(ソロリティ)との連携を通じて商品紹介やプレゼント企画、部屋づくりコンテンツなどを実施し、SNSで人気を集める新入生勧誘文化「#RushTok」とも連動する計画である。

長期化する新学期商戦に対応

デロイトの新学期消費調査では、2026年の支出総額は前年並みと予測されている一方、購入時期は7月下旬から8月上旬に集中し、コロナ禍以前の消費パターンへ戻ると見込まれている。
アメリカン・イーグルは、こうした市場環境に対応するため、新学期商戦を短期決戦ではなく約10週間に及ぶ長期キャンペーンとして設計した。学生はキャンパスへ戻った後も周囲のファッションから刺激を受け、季節の変化に合わせて追加購入を行う傾向があるため、その需要を継続的に取り込む戦略である。

スポーツスターとの話題性、ショッピングモールでの体験価値、大学キャンパスでのコミュニティ形成、そしてSNSを通じた情報発信を組み合わせることで、アメリカン・イーグルはリアルとデジタルを横断する新学期マーケティングを展開し、Z世代との長期的な関係構築を目指している。(出典:MARKETING DIVE、画像:アメリカン・イーグル)

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