マツキヨココ、オーガニック化粧品「ジョンマスター」を買収

マツキヨココカラ&カンパニーは8月24日、オーガニック化粧品を手掛けるジョンマスターホールディングス(JMHD)を買収すると発表した。利益率の高い化粧品分野でメーカー機能を取り込むことで、商品開発力をさらに高める狙いである。

今回の買収では、マツキヨココカラ&カンパニーが投資ファンドのアスパラントグループからJMHDの全株式を取得する。取得日は9月7日で、買収額は公表していない。JMHDは2022年からアスパラントグループの出資を受けていた。
買収後、JMHDはマツキヨココカラ&カンパニーの子会社で、商品開発などを担うMCCマネジメントの傘下に入る。マツキヨココにとっては、販売網だけでなく化粧品の製造・開発機能まで取り込むことで、商品力と収益力の両方を強化する機会となる。

「ジョンマスター」のブランド力と商品開発力を取り込む

JMHD傘下のジョンマスターオーガニックグループは、オーガニック化粧品の製造・販売や輸入を手掛けている。天然由来の原料を使用したシャンプーやスキンケア用品などを展開しており、ブランドは1994年に米ニューヨークで誕生した。
日本には2007年に進出し、現在は百貨店や商業施設を中心に36店舗を展開する。オンラインストアも運営しており、2025年9月期の売上高は46億円だった。

マツキヨココにとって今回の買収の大きなポイントは、すでに知名度を確立しているブランドを獲得するだけではない。国内外で化粧品の製造を行う企業を傘下に収めることで、自社の商品開発にメーカーとしての機能を組み込める点にある。
化粧品の品ぞろえを広げるとともに、企画や製造工程を効率化することで、製造コストの抑制につながる可能性もある。ドラッグストアとして顧客との接点を持ちながら、メーカー機能を強化することで、商品開発から販売までの一体化を目指す戦略といえる。

マツキヨココはこれまでも、外部メーカーとの協業によってプライベートブランド(PB)の開発を進めてきた。マンダムとは2024年4月に男性向けコスメブランド「KNOWLEDGE(ナレッジ)」を発売。化粧水と乳液はいずれも160ミリリットルで2530円と、一般的なメーカー商品と比べても高価格帯に設定されている。
その後も日焼け止めやヘアケア商品などにラインアップを広げ、顧客の利用頻度を高める取り組みを進めてきた。購買履歴などの顧客データを活用し、店舗を訪れる消費者のニーズを商品開発に反映できる点もマツキヨココの強みである。

こうしたPB戦略の強化を背景に、同社のPB売上高比率は2026年3月期で14.8%まで上昇している。今回のJMHD買収は、この流れをさらに加速させる可能性がある。

化粧品に強いマツキヨココ、競争激化のなかでメーカー機能を強化

マツキヨココの化粧品売上高比率は37%に達する。ツルハホールディングスの14%、サンドラッグの29%と比べても高い水準である。
ドラッグストア各社が食品の取り扱いを増やして売上規模を拡大するなか、マツキヨココは化粧品や医薬品を重視することで、粗利益率を高める戦略を取っている。売上高営業利益率は7%台で、業界でも高い水準にある。

一方、化粧品市場では競争が激しくなっている。サンドラッグは美容と健康のカウンセリングに重点を置く専門店業態「CARER」を展開し、渋谷や池袋などに店舗を構えている。クリエイトSDホールディングスも、一部店舗を美容分野に力を入れた「Cremo」へ転換するなど、各社が化粧品を成長領域として位置づけている。
さらに、低価格帯から中価格帯では韓国コスメの存在感も高まっている。単に商品を並べるだけでは差別化が難しくなっており、独自商品やブランド、接客などを含めた総合的な美容戦略が問われている。

マツキヨココは、旧マツモトキヨシホールディングスと旧ココカラファインが2021年に経営統合して誕生した。その後も福岡市の新生堂薬局など、中小規模のドラッグストアや調剤薬局を中心にM&Aを進め、事業規模を拡大してきた。
経営統合後のシナジー創出に対する評価も高く、ドラッグストア業界の再編における成功例の一つとされている。M&Aを成長戦略に取り込んできた同社にとって、今回のJMHD買収は、店舗網の拡大とは異なる意味を持つ。
高い認知度を持つ「ジョンマスター」のブランド力と、マツキヨココが持つ店舗網、顧客データ、PB開発力を組み合わせることで、単なる小売企業からメーカー機能を備えたドラッグストアへと進化できるかが焦点となる。

これまでのM&Aでは、買収先との事業統合や店舗網の相乗効果が重要だった。今回はそこに商品開発や製造、ブランド運営という新たな要素が加わる。「ジョンマスター」を起点にどれだけ新商品を生み出し、マツキヨココの販売力と結びつけられるか。今回の買収は、同社の次の成長ステージを占う重要な一手となる。(出典:日本経済新聞、画像:ジョンマスターオーガニック)

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