カンヌ・ライオンズ2026②日本勢が存在感 クラフトとエンターテインメント分野で受賞相次ぐ

カンヌ・ライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル2026の2日目では、エンターテインメント、デザイン、デジタル・クラフト、フィルム・クラフト、インダストリー・クラフトなどの主要部門の受賞作品が発表された。
今年は、日本をはじめとするアジア太平洋地域(APAC)の広告会社やブランドが多くのカテゴリーで受賞を果たし、とりわけ日本勢は複数部門でライオンを獲得するなど高い存在感を示した。
LIONSのCEOであるサイモン・クック氏は、「今回の受賞作は、優れたクラフトがブランド体験をどのように進化させるか、さらにファンダムの力がブランド価値や事業成長をどのように支えているかを象徴している」と総括した。

各部門グランプリとAPAC受賞作品

エンターテインメント部門
656作品の応募から20作品が受賞。グランプリには、ニューヨークのJohannes Leonardoが制作したアディダスの「Original Forever」が選ばれた。
同作品は、英国ロックバンド「オアシス」とアディダスの歴史的な関係性を活用し、公式ツアーグッズや文化的イベントを展開することで、ブランドと音楽ファン双方のコミュニティを強く結び付けた点が評価された。
審査委員長のクリス・ベレスフォード=ヒル氏は、「ブランドが無理に話題性を作り出すのではなく、本当に人々が求める文化的瞬間を提供したことが決め手になった」とコメントしている。

APAC受賞
ブロンズ

  • Luck(東京)「Goodbye RX-7: Saying Farewell to a Dear Friend」(マツダ)

エンターテインメント・ライオンズ(ゲーミング)
216作品の中から8作品が受賞。
グランプリはDavid New Yorkによる『Clash Royale』の「Copycats Welcome」。
模倣ゲームの利用者を排除するのではなく、これまでのプレイ実績やアイテムをそのまま引き継げる仕組みを提供し、公式コミュニティへ迎え入れるという大胆な発想が評価された。

APAC受賞
ブロンズ

  • Whatever(東京)「Silent Cleaning」(花王)

エンターテインメント・ライオンズ(音楽)
318作品から13作品が受賞。
今年は2作品がグランプリを獲得した。

  • adidas「Original Forever」
  • Rosalía「Berghain」
    審査では、ブランドとアーティストが対等な関係で文化を創出し、新旧ファン双方に強い共感を生み出した点が高く評価された。

エンターテインメント・ライオンズ(スポーツ)
660作品から21作品が受賞。
グランプリはMcCann Limaによる「The Thousand Sponsors of Muni」。
経営危機に陥ったサッカークラブのサポーター一人ひとりをスポンサーへ転換し、クラブ再建を実現したアイデアである。

APAC受賞
シルバー

  • Ogilvy Taipei「The Switch Hit by Mikkeller」
    ブロンズ
  • LePub Singapore「Curfew Hostels」(Tiger Beer)

デザイン・クラフト部門で日本勢が活躍

デザイン部門
792作品から26作品が受賞。
グランプリはAppleのブランド刷新プロジェクト「Apple TV Rebrand」。
映像作品の持つ感情や物語性をデザインに落とし込み、人間味あふれるブランド体験を実現した点が高く評価された。

APAC受賞
シルバー

  • 博報堂/Anywhere/博報堂デザイン(東京)
「Tigris – Condensed Identity」
  • 電通(東京)
「Dear Difference」(ニッカウヰスキー)
  • 博報堂Gravity/博報堂Cabin(東京)
「Craftman.Ships」
    ブロンズ
  • Paulus(ソウル)
「Vision Pulse: Sight Beyond Seeing」

デジタル・クラフト
355作品から11作品が受賞。
グランプリはGoogleの「Project Genie」。
AI研究成果を一般ユーザー向けサービスへ落とし込み、創造性を支援する新しいインターフェースとして高く評価された。
審査では、「テクノロジーそのものではなく、創造性がテクノロジーの可能性を引き出した点」が受賞理由として挙げられた。

フィルム・クラフト
1,433作品の中から43作品が受賞。
グランプリはCoinbase「Your Way Out」。
ゲーム的な映像表現を用いながら金融システムへの問いを投げ掛ける作品であり、映像演出や制作技術の完成度が高く評価された。

APAC受賞
ブロンズ

インダストリー・クラフト
649作品から18作品が受賞。
グランプリはLOLA Madridによるデロンギ「Tiny Coffee Shops」。
コーヒーマシンを精巧なミニチュアカフェへ変身させることで、自宅でコーヒーを楽しむ体験そのものを再定義した。
審査では、細部への徹底したこだわりとクラフトマンシップが高く評価された

APAC受賞
ゴールド

  • 電通(東京)
「Dear Difference」(ニッカウヰスキー)
    シルバー
  • TBWA Sydney
「Sunburnt Car」
  • 博報堂Gravity/博報堂Cabin(東京)
「Craftman.Ships」
    ブロンズ
  • 電通(東京)
「Dear Difference」
  • The Nine(上海)
「Fascinating」

ライオンハート賞はオプラ・ウィンフリー氏

2日目の授賞式では、特別賞である「ライオンハート賞」が、メディア界で長年にわたり社会へ大きな影響を与えてきたオプラ・ウィンフリー氏へ贈られた。
同賞は、創造性だけでなく、自らの影響力を社会課題の解決や持続的な変化の創出に生かしてきた人物を顕彰するものであり、カンヌ・ライオンズを代表する栄誉の一つとなっている。
2026年大会2日目は、ブランドと文化、テクノロジー、コミュニティを結び付ける作品が数多く評価される結果となった。特に日本勢はデザインやクラフト領域を中心に存在感を示し、アジア太平洋地域全体としても多彩な受賞を重ねたことが大きな特徴であった。(出典:branding in asia、画像:YouTube)

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