
カンヌライオンズ2026 ①APAC勢も各部門で存在感
2026年のカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルが開幕し、初日にオーディオ&ラジオ、クリエイティブ・ブランド、クリエイティブB2B、ヘルス&ウェルネス、アウトドア、ファーマ、プリント&パブリッシングなど主要部門の受賞結果が発表された。アジア太平洋(APAC)地域からも多数の受賞作が誕生し、地域のクリエイティブ力を示す結果となった。
初日のグランプリ決定 新設「クリエイティブ・ブランド」賞はABインベブが受賞
オーディオ&ラジオ部門には513作品がエントリーし、グランプリはヒュンダイ・プエルトリコ向けに制作された「Coquí Alarmed」が獲得した。レンタカーの標準的なロック音を、プエルトリコを象徴するコキーガエルの鳴き声へ変更することで、地域文化とブランド体験を融合させた点が高く評価された。審査委員長は「ローカルな着想を世界的な価値へ昇華させ、オーディオ広告の可能性を広げた」と講評した。
2026年に新設されたクリエイティブ・ブランド・ライオンズでは、ABインベブの「Creativity at Scale」が初代グランプリを受賞した。同賞は、優れた広告作品だけでなく、継続的に創造性を生み出す企業文化や組織体制そのものを評価するカテゴリーである。ABインベブは同時に「クリエイティブ・マーケター・オブ・ザ・イヤー」にも選出された。
クリエイティブB2B部門では355作品の中から、SKFによる「Faroe Islands Space Program」がグランプリを受賞した。産業機械メーカーでありながら、実際の宇宙開発プロジェクトを通じてブランドの技術力を体現した大胆な取り組みが評価された。
ヘルス&ウェルネス部門では889作品の応募から、The Ordinaryによる「The Periodic Fable」がグランプリに選ばれた。美容業界で乱立するマーケティング用語を「元素周期表」に見立てて再構成し、美容広告のあり方を問い直す作品として高い評価を受けた。
アウトドア部門のグランプリは、ブラジルのEC企業メルカド・リブレによる「Field Barcode」が受賞。サッカー場全体を巨大なバーコードとして活用し、リアル空間とデジタル体験を融合させた発想が評価された。
ファーマ部門では、ノバルティス向け「Relax Your Tight End」がグランプリを獲得した。スーパーボウルという巨大イベントを活用し、前立腺がん検診への関心を高める社会的キャンペーンとして注目を集めた。
プリント&パブリッシング部門では、ハインツの「Look Familiar」がグランプリを受賞した。商品そのものを描かず、長年培われたブランド資産だけで認知を成立させるシンプルな表現が高く評価された。
APAC勢も健闘 日本・シンガポール・インドなどが受賞
アジア太平洋地域からも多くの受賞作品が誕生した。
オーディオ&ラジオ部門
- シルバー:Leo India(「The Unofficial Official Sound of F1」)
- シルバー:TBWA\China(「Yangzhou Morning Musical Suite」)
- ブロンズ:Colenso BBDO(ニュージーランド)
- ブロンズ:電通(日本)「Voice of Food」(味の素)
クリエイティブB2B部門 - ゴールド:VML Bangkok「Stay of Soil」(Tra Mongkut Fertilizer)
- シルバー:Dentsu Creative Auckland「Reverse Media Schedule」
- シルバー:Ogilvy Singapore「Vaseline Originals」
ヘルス&ウェルネス部門 - ゴールド:DAVID London/Ogilvy Singapore「Art’s Missing Period」(Kotex)
- シルバー:VML Sydney「MagnifAI」
- シルバー:The Refinery Mumbai/Brand David Communications「Indi Dentris」(Colgate)
- ブロンズ:Leo Singapore「Vaseline and the Real Nigerian Prince」
- ブロンズ:DAVID London/Ogilvy Singapore「Art’s Missing Period」
- ブロンズ:Ogilvy Mumbai「Renu vs City」
アウトドア部門 - ゴールド:TBWA\Sydney「Sunburnt Car」
- シルバー:Leo Hong Kong「Back to Kai Tak」(Cathay)
- ブロンズ:BLKJ Havas Singapore
- ブロンズ:LePub Singapore/LePub Milan「Rooftop Revival」(Heineken)
ファーマ部門 - ゴールド:Ogilvy Shanghai「Viagra Blue Brands」(Viatris)
- ブロンズ:Humour Me(ニューデリー)「Sawal Uthao」(Tata 1mg)
特別賞も発表 医療ネットワーク部門はClick Healthが首位
特別賞では、Healthcare Network of the YearはClick Healthが首位を獲得し、2位にOgilvy Health、3位にReal Chemistryが続いた。
また、Healthcare Agency of the Yearは、
1位 Click Health(トロント)
2位 Ogilvy Health(ニューヨーク)
3位 21GRAMS(ニューヨーク)
という結果となった。
さらに、2026年のEntertainment Person of the Yearには、Appleのサービス部門シニアバイスプレジデントであるエディ・キュー氏が選出され、授賞式で表彰された。
初日の結果からは、ブランド構築そのものを評価する新カテゴリーの創設や、B2B、ヘルスケア、クリエイターエコノミーなど、従来の広告の枠を超えた領域でクリエイティビティが重視される傾向が一段と鮮明になった。また、APAC地域の受賞数の多さは、世界のクリエイティブ市場における同地域の存在感が一層高まっていることを示している。(出典、画像:branding in asia)
















