アシックス、美容市場に新たな切り口 “15分の運動”をスキンケアとして提案

アシックスが、美容業界を意識した新たなマーケティングキャンペーンを展開している。
同社は今回、ソーシャルメディアで人気を集める「Get Ready With Me(GRWM)」形式の美容チュートリアル動画をモチーフにしたクリエイター主導型キャンペーンを開始した。テーマとなっているのは、高価な美容液や複雑なスキンケアではなく、“15分間の運動”である。
社名の由来でもあるラテン語「健全な精神は健全な身体に宿る」という理念を軸に、アシックスは“運動による自然な輝き”を現代の美容文化へ提案している。

“自然な輝き”を美容価値として訴求

今回のキャンペーンでは、美容系インフルエンサーであるミア・モージ、カースティ・エリザベス、マンディライクス、ハンナ・ロンドンらを起用。動画では、運動後の自然な表情や肌の変化を前面に打ち出している。
アシックスによれば、15分間の運動、特に屋外での軽いエクササイズには、気分を高揚させ、自信を高める効果があるという。同社は、こうした精神面の変化が“自然な肌の輝き”にもつながると訴えている。
背景には、現代の美容市場における消費行動の変化がある。業界調査では、女性が1日に平均22分をスキンケアに費やし、約74%が朝晩に複数ステップのケアを行っているという。
そうした中でアシックスは、「本当に必要なのは高額な美容アイテムではなく、身体を動かすことではないか」という視点を提示している。
キャンペーンのメイン動画では、「体を動かすことは、心を動かすこと」というメッセージが強調されている。

スポーツブランドが“メンタル”を語る時代へ

近年、スポーツブランド各社は、身体機能だけでなくメンタルヘルスとの関係性を積極的に打ち出している。
ルルレモンは運動と精神状態に関する独自調査を継続しており、オンは俳優ゼンデイヤと組み、不安障害との向き合い方をテーマにしたコミュニケーションを展開している。
また、アディダスの「You Got This」キャンペーンも、“ストレスとの向き合い方”を重要なテーマとしているほか、パフォーマンスウェアブランドのローンはNBA選手ケビン・ラブと共に「Mental Fitness」プロジェクトを進めている。
その中でアシックスは、メンタル面だけでなく、“美容効果”までを明確に打ち出した点に特徴がある。

SNS時代の美容観に挑戦

アシックスは今回の施策について、「ソーシャルメディア上の実際のニーズを反映したもの」だとしている。
同社によれば、“glow(輝き)”に関連する肌検索は今年43%増加しており、「短時間で輝きを得る方法」に関するSNS上の会話量も375%増加しているという。
アシックスのグローバル・マーケティング責任者ゲイリー・ラウチャー氏は、「美容業界が“輝き”を商品化する以前から、人々は運動によって自然な輝きを得ていた」と説明する。
さらに同氏は、「人工的な美しさが強調される時代だからこそ、本物の輝きを見直したい」と述べ、“内側から生まれる美しさ”こそが重要だという考えを示している。
スポーツブランドが美容市場へ接近する流れは、単なるカテゴリー拡張ではなく、健康・メンタル・美容を一体化した新たなライフスタイル提案へと進化しつつあるのである。(出典:MarketingDaily、画像:アシックス)

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