
アサヒビール「スーパードライ3.0」が始動 酒税改正を見据えた大刷新
アサヒビールは2026年10月の酒税改正を見据え、主力ブランド「アサヒスーパードライ」の中味、パッケージ、コミュニケーション戦略を全面刷新する。対象となるのは「アサヒスーパードライ」「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」「アサヒスーパードライ ドライクリスタル」で、8月以降の製造分から順次切り替えられる予定である。
アサヒビールによれば、2020年と2023年の酒税改正を経てビール類市場におけるビールカテゴリーの構成比は2025年に57%まで上昇しており、さらに2026年10月以降は「ビールの購入量を増やしたい」と考える消費者が全体の約35%に達しているという。こうした市場環境の変化を受け、同社は「本当にうまいビールとは何か」を消費者が改めて考える機会が訪れると分析している。
その中で選ばれるブランドとなるため、スーパードライ独自の価値を再定義し、さらに磨き上げることが必要だと判断した。1987年の発売を「スーパードライ1.0」、2022年のリニューアルを「スーパードライ2.0」と位置付ける同社は、今回の刷新を「スーパードライ3.0」と命名し、「冷えた状態で最高においしい新しい辛口」の実現を目指している。

「冷え×辛口」でビール体験を進化させる
今回のリニューアルの中心にあるのは、「冷え」と「辛口」の価値を徹底的に高める考え方である。アサヒビールの調査では、生ビールに対して消費者が最も期待する価値は「冷えていること」だったという。同社は冷たさを単なる温度ではなく、ビールのおいしさを構成する本質的な要素と位置付けている。十分に冷やされたビールは炭酸ガスが液体に溶け込みやすくなり、喉越しの刺激や飲みごたえが向上する。また苦味が抑えられることで後味のすっきり感やキレの良さも際立つ。
こうした考えのもと、同社は2025年から「キンキンDRY」と呼ばれる“辛口×冷え”の施策を展開してきた。その結果、「キンキンに冷えた時に最もおいしそうなビール」という認知調査では、スーパードライが45.6%でトップとなり、他ブランドを大きく引き離したという。新処方では麦芽使用比率を見直し、飲み始めの飲みごたえをさらに強化したほか、ホップの品種や配合も再設計し、後味のキレを向上させている。同社が「辛口カーブ」と呼ぶ飲みごたえからキレへ移行する味わいの変化も、よりダイナミックになった。
評価試験では、飲み始めの約3℃から飲み終わりの約10℃まで、どの温度帯でも辛口の魅力が高まったという結果が得られている。さらに試飲者への調査では、家庭での1週間あたりの飲用意向本数が現行品の5.4本から6.6本へ増加しており、同社は今回の新処方を「辛口の最高傑作」と位置付けている。パッケージ面では、冷やすと裏面に辛口カーブが浮かび上がる示温インキを引き続き採用し、視覚的にも「冷え」の価値を伝える仕様となった。

生ジョッキ缶やドライクリスタルも刷新 体験価値をさらに拡大
今回の刷新では「生ジョッキ缶」もスーパードライ本体と同じ新処方へ変更される。広い飲み口ときめ細かな泡を実現する独自容器との組み合わせにより、自宅でも飲食店品質に近いビール体験を楽しめることが特徴である。
また「ドライクリスタル」も改良される。2023年の発売以降、アルコール3%台のビールに対する需要は拡大しており、理想的なビールのアルコール度数として3%台を支持する消費者も増加している。今回のリニューアルでは麦芽香を強化して飲みごたえを高めるとともに、ホップ配合を見直すことでキレ感も向上させた。その結果、同社調査では「おいしさ」と「飲みごたえ」の両面でビール類トップクラスの評価を獲得したという。
さらにブランド全体のデザインも統一され、ジョッキ缶やドライクリスタルの裏面にも縦型のスーパードライロゴを採用することで、売り場でのブランド認知を高める。マーケティング面ではテレビCM、WEB広告、屋外広告、店頭施策、街頭サンプリングなどを組み合わせた過去最大規模のプロモーションを展開する予定であり、「冷え」の第一想起率を2025年の46%から2026年には50%、2030年には80%へ引き上げる目標を掲げている。
販売計画はブランド全体で前年比103%となる7102万箱である。また家庭での飲用体験向上策として、冷蔵後にさらに3分間冷凍庫で冷やす「仕上げに3分冷凍庫DRY」を提案している。温度を約1℃下げることでキレと飲みごたえを高めるというもので、俳優の阿部寛氏を起用した広告などを通じて訴求していく。
飲食店では「スーパーコールド」認定店や「エクストラコールド」導入店、「キンキンタンブラー」取扱店など冷えにこだわった提供拠点が全国3万店を超えており、年間約6億杯に及ぶ飲食店での接点を活用しながらブランド価値向上を図る方針である。さらに製造後原則3日以内に出荷する「工場できたてのうまさ実感パック」や、東京のブランド体験施設「BEER DINER SUPER DRY TOKYO」に導入された「トルネード・ディスペンサー」なども展開し、鮮度や演出を通じてスーパードライならではの体験価値を強化している。
アサヒビールはこうした取り組みを通じて、「冷えた状態で最高においしい辛口」という独自価値をさらに高め、酒税改正後のビール市場に新たな流れを生み出そうとしている。(出典:ALWAYS LOVE BEER、画像:アサヒビール、ALWAYS LOVE BEER)
















