OTBグループとGoogle Cloudが提携 AIによる次世代ショッピング体験を展開

ディーゼル、ジル・サンダー、メゾン・マルジェラ、マルニ、ヴィクター&ロルフなどを展開するOTBグループは、Google Cloudとの戦略的パートナーシップを発表した。両社はGoogle CloudのAI技術を活用し、顧客一人ひとりに合わせた新しいショッピング体験の提供を目指す。

今回の取り組みはOTBグループのグローバルなイノベーション戦略の中核を担うプロジェクトであり、まず米国と欧州においてディーゼルおよびジル・サンダーで導入される。その後、マルニやメゾン・マルジェラにも拡大し、さらに他地域への展開も計画されている。Google Cloudが提供するインフラ基盤に加え、Gemini Enterprise Agent PlatformやGeminiモデル群が各ブランドや市場ごとの要件に対応する技術基盤となり、将来的にはOTBグループ全体での活用が視野に入っている。

バーチャル試着が実現する高精細な顧客体験

今回のプロジェクトの中核となるのは、Google Cloudの生成AI技術「Virtual Try-On API」である。この技術により、顧客は商品を実際に着用した際の見え方やフィット感を高精度にシミュレーションできるようになる。オンライン上での商品閲覧と実店舗での試着体験との間に存在していたギャップを埋めることで、より納得感の高い購買体験を実現する狙いだ。

OTBグループはこの機能を顧客向けサービスとしてだけでなく、クライアントアドバイザー向けのプレミアムツールとしても活用する。アドバイザーは選ばれた顧客に対し、超高精細なビジュアルプレビューや360度ビューを共有しながら提案を行うことができるようになり、従来の接客を大規模かつ高度にパーソナライズされた体験へと進化させることが期待されている。
OTBグループの会長兼創業者である Renzo Rosso は、テクノロジーは人間の創造性や才能を支援するために活用されるべきだという考えを以前から持っていたと説明する。その上で、AIは顧客体験をより魅力的かつ高度にパーソナライズされたものへ進化させる大きな可能性を秘めており、今回のバーチャル試着機能は数年前から描いてきたビジョンを実現するものだとしている。また、Eコマースとクライアントリングの発展において自然な進化であり、今後のファッション業界の成長を支える重要な要素になるとの見方を示している。

オムニチャネル戦略を支えるAI活用の拡大

今回の取り組みは単なるバーチャル試着にとどまらない。OTBグループは高品質なAI生成ビジュアルを活用し、オンラインと実店舗をシームレスにつなぐオムニチャネル体験の構築を目指している。顧客はAIによって生成された試着画像をきっかけに店舗予約を行い、実際の商品体験へとつなげることができる。また、Googleの画像編集技術「Nano Banana」を活用することで、ディーゼルやジル・サンダーの広告キャンペーンやファッションイベントの世界観の中に自分自身を登場させることも可能となる。さらにGoogleの動画生成モデル「Veo」を用いることで、静止画像を動画として表現し、より没入感の高い体験を創出する。

Google Cloudのプレジデント兼最高収益責任者(CRO)である Matt Renner は、テクノロジーは顧客が抱える実際の課題を解決してこそ価値を発揮すると述べている。その上で今回の協業は、AIが単なる業務効率化を超えて、小売現場の役割そのものを高度化できることを示す事例であると位置付ける。Virtual Try-Onの導入によって、クライアントアドバイザーは従来の販売活動を超え、世界中の顧客に対してより自信を持ってパーソナライズされたショッピング体験を提供できるようになる。OTBグループとGoogle Cloudは、この取り組みを通じてラグジュアリーファッションにおける顧客体験の新たな標準づくりを目指している。(出典:DIRECT COMMERCE、画像:OTBグループ、DIRECT COMMERCE)

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