
バーバリー、170点のポートレートでアウターウェアの170年を祝う
バーバリーは創業170周年を迎え、ブランドの歴史を象徴するアウターウェアに焦点を当てた新たなキャンペーンを開始した。「170: The Anniversary Portraits」と題した企画では、170年の節目に合わせて170点のポートレートを制作。ブランドの核となるアウターウェアが、時代や人、着こなしの変化とともにどのように受け継がれてきたのかを表現している。
今回のキャンペーンは、バーバリーが事業とブランドの立て直しを進める中で展開されたものでもある。同社では特に、トレンチコートをはじめとするアウターウェアの定番商品が業績を支える存在となっている。ロンドンに本拠を置くバーバリーは、2027年度第1四半期の業績発表において、先行して展開した「Portraits of an Icon」キャンペーンによってレインウェアの新規顧客が19%増加したと明らかにした。
同キャンペーンにはジョナサン・ベイリー、クリスティン・スコット・トーマス、マシュー・マクファディン、ケイト・モスら23人の著名人が登場。それぞれがバーバリーを代表するトレンチコートへの思いを語ることで、アイコニックな商品を現代の消費者との接点として位置づけた。
直近の四半期では、ヘリテージ・レインウェアや軽量ジャケット、季節商品への需要が伸び、アウターウェア全体の売上高も2桁成長を記録している。こうした事業面での成果を背景に、今回の「170: The Anniversary Portraits」は、バーバリーが長い歴史を持つアウターウェアを再びブランドの中心に据える動きを象徴するものとなっている。
170の肖像で見せる、アウターウェアの多様な着こなし
ジャック・デイが撮影し、ヘクター・アポニサスが監督した今回のキャンペーンでは、ロンドン、ニューヨーク、ソウル、上海で暮らすさまざまな人々をモデルに起用した。世界の主要都市を舞台にすることで、バーバリーのアウターウェアが持つ国際的な広がりを表現している。
キャンペーンで登場するアウターウェアはわずか10スタイルである。一方、ポートレートは170点に及ぶ。同じ商品であっても、着る人の個性や生活、スタイリングによって異なる表情を生み出せることを示す構成である。
被写体には、街頭でスカウトされた一般の人々に加え、アート、文学、スポーツ、音楽など各分野で活動する著名人、さらにバーバリーのチームメンバーも含まれている。特定のスターだけに依存するのではなく、異なる背景を持つ人々を一つのポートレート群にまとめることで、アウターウェアそのものを自己表現の媒体として捉えている。
バーバリーのチーフ・クリエイティブ・オフィサーであるダニエル・リーは、170年の歴史の中でアウターウェアが天候や人々の着こなしに合わせて変化してきたことを今回の企画の背景として説明している。170点の肖像はそれぞれ異なる一方、全体として見ることで個性や自己表現を浮かび上がらせるという考え方である。
また今回の取り組みは、バーバリーを象徴するチェック柄だけに依存しないブランドイメージを構築しようとする動きとも重なる。170年という歴史を単なる過去の資産として見せるのではなく、現在の都市生活者が実際に身につける商品を通じて、ブランドのルーツを現代的に提示している。
アウターウェアを軸に業績回復、幅広い顧客層を取り込む
ラグジュアリー市場全体では厳しい環境が続いている。ベイン・アンド・カンパニーは、今年のラグジュアリー市場の総売上高について、横ばいから2%増程度にとどまると予測している。そうした中で、バーバリーの直近四半期の既存店売上高は5%増となった。
地域別では米国市場を含む米州が特に好調で、既存店売上高は12%増加した。中国も9%増と伸長した一方、欧州、中東、日本では減少している。また、レディースハンドバッグ事業も再び成長軌道に戻り、Z世代の購買層は全体として2桁の伸びを示した。
CEOのジョシュア・シュルマンは、アウターウェアの好調を起点として、ウィメンズウェア、メンズウェア、アクセサリー、キッズウェアの各カテゴリーが3年ぶりにそろって成長したと説明している。さらに、製品カテゴリーだけでなく販売チャネルや地域をまたいで、幅広いラグジュアリー顧客を取り込めるようになっていることを、現在の戦略の成果として挙げている。
こうした変化について、モーニングスターのアナリストであるイェレナ・ソコロヴァは、バーバリーが過去10年間、競合ブランドに追いつくことに苦戦してきたと指摘する。その背景として、一連の実行上の問題があり、レザー事業やファッションコンテンツの強化にも取り組んできたものの、成果は一様ではなかったと分析している。
その一方で、ソコロヴァは現在のバーバリーがマーケティングと商品展開の両面で、アウターウェアやスカーフといった中核商品へ再び重点を置いている点を評価している。直近の四半期決算が回復の兆しを示す中、同氏はバーバリーが長期的に4~5%の成長率と2桁の利益率を取り戻す可能性があるとの見方を示している。
170周年という節目を利用しながら、バーバリーは自らの歴史を振り返るだけではなく、アウターウェアという中核カテゴリーを現在の消費者との接点として再構築しようとしている。170点のポートレートは、その商品が持つ長い歴史と現代的な自己表現を結びつけるブランドコミュニケーションとして位置づけられる。(出典:MediaPost、画像:バーバリー)
















