アクセンチュア、Whalar買収でクリエイター領域を強化

アクセンチュアは2026年6月、クリエイターおよびソーシャルマーケティングに特化したエージェンシー「Whalar」を買収すると発表した。買収金額などの詳細な条件は公表されていない。Whalarは今後、アクセンチュアのマーケティングサービス部門である「Accenture Song」に統合される予定である。Whalarはこれまで主要なソーシャルプラットフォーム上で累計6億ドルを超えるクリエイターキャンペーンを運営してきた実績を持つ。クリエイターとの連携だけでなく、キャンペーン効果を高度に測定する分析能力にも定評があり、今後はAccenture Songが持つインサイト分析、ソーシャルコマース、AIによる顧客発見機能などと組み合わせることで、より包括的なマーケティングサービスを展開する方針だ。さらにアクセンチュアは、Whalarの親会社であるWhalar Groupとも3年間の戦略的パートナーシップを締結し、クリエイターエコノミー分野での新たなサービス開発やイノベーション創出を共同で進めていく。

クリエイターマーケティングが主戦場に

今回の買収の背景には、企業の広告投資が従来メディアからソーシャルプラットフォームへ急速に移行している市場環境がある。クリエイターとの協業はもはや補完的な施策ではなく、ブランド戦略を支える主要なマーケティング手法へと発展している。アクセンチュアが引用したIAB(Interactive Advertising Bureau)の調査によれば、クリエイターは多くの企業にとって「中核的なメディアチャネル」となりつつあり、2026年の米国におけるクリエイター関連広告支出は約440億ドルに達すると予測されている。Accenture Songのグローバル・マーケティング・プラクティス責任者であるディミトリ・マエックス氏は、今後の競争優位性は単なるコンテンツ量ではなく、人間らしさや独創性にあると指摘する。AIが普及し、自動生成コンテンツが増加するなかで、クリエイターが持つ独自性や共感力の価値はさらに高まるとの見方を示した。同氏は、Whalarの持つクリエイターとの強固な関係性と、Accenture Songが保有するデータ分析や事業規模を組み合わせることで、単なるコンテンツ制作を超えた成果創出が可能になると説明している。

世界規模のネットワークと測定能力を獲得

Whalarは設立から約10年で、40カ国以上・15言語にわたる市場で数万件規模のクリエイターコラボレーションを展開してきた。これまで数千件に及ぶブランド施策を支援し、メディアミックスモデリングや第三者機関による調査を活用しながら、マーケティング施策がブランド価値や売上にどのような影響を与えたかを継続的に測定している。現在は米国、英国、アイルランド、ドイツ、スペインを拠点に170名以上のスタッフを抱えており、買収後も共同CEOであるエマ・ハーマン氏とジョー・クロンク氏が引き続き経営に関与する予定である。一方、Whalar Groupは買収対象外の事業については従来通り運営を継続する。グループ傘下にはSixteenth、Foam、Moby Ventures、The Lighthouse、The Business of Creativityなどの事業を持ち、今後もクリエイターエコノミー領域への投資と事業拡大を進める方針だ。アクセンチュアは2010年代以降、継続的なM&Aを通じてマーケティングサービス事業を拡大してきた。2022年には「Accenture Song」ブランドを立ち上げ、その後もソーシャル領域に強みを持つSuperdigitalや顧客体験支援企業Unlimitedなどを買収している。今回のWhalar買収は、その戦略をさらに前進させるものであり、同時に広告持株会社各社が競って進出しているクリエイターエコノミー市場での存在感強化を狙った動きと位置付けられる。(出典:MARKETING DIVE、画像:アクセンチュア)

関連記事一覧