
新型CX-5を起点にブランド改革を加速するマツダ、綾瀬はるか起用で“選ばれる理由”を再構築
日本の自動車メーカー各社が電動化や知能化を軸に競争を激化させるなか、Mazda Motor Corporationは主力SUV「CX-5」の刷新を契機として、販売現場やブランド戦略の立て直しを本格化させている。さらに同社は、ブランドアンバサダーとしてHaruka Ayaseを起用し、商品だけでなくブランド全体の魅力発信を強化する構えだ。


「良い商品だけでは売れない」――販売改革と店舗再編を推進
5月に東京都内で開催された販売店向け決起大会では、全国から約800人の店長らが集まり、マツダの毛籠勝弘社長が強い危機感を示した。国内販売は近年低迷が続いており、2026年3月期の販売台数は14万4000台と、初代CX-5投入直後の2013年3月期と比較して3割以上減少している。特に、他社ブランドからの乗り換えや新規顧客の割合が縮小している点が課題となっている。
背景には、「良いクルマを作れば自然に売れる」というプロダクトアウト型の発想が強まり、店舗やマーケティングへの投資が相対的に弱まっていたことがある。そこでマツダは、新型CX-5を起点に販売網の再構築と顧客体験の改善を急ぐ方針へと転換した。
その象徴が、2026年4月に立ち上げた「ブランドアカデミー」である。この組織では、理想的な店舗体験を実現するための接客や行動基準を「スタンダード」として定義し、専任コーチが全国796店舗を巡回しながら浸透を図っている。
同時に、店舗デザインの刷新も進む。埼玉県の桶川店では、グレーを基調とした新世代店舗へ改装を実施した。従来の“黒マツダ”と呼ばれる高級感重視の店舗に加え、親しみやすさと上質感を両立した空間づくりを進めている。今後は全国10都市を中心に新世代店舗を拡大し、重点300店舗については大部分を刷新していく計画だ。
米国市場で成果を上げた“毛籠改革”
こうした改革の原型となっているのが米国市場である。毛籠社長は2016年に現地法人トップへ就任後、重点エリアを絞り込みながら販売店網を再編し、新世代店舗への切り替えと接客品質向上を進めてきた。
その結果、米国では販売店数を減らしながらもブランド価値を高めることに成功した。2025年末時点では544店舗中352店舗が新世代店舗となる見込みであり、顧客満足度と販売効率の改善につながっている。
マツダは近年、米国市場で最も販売を伸ばした日本メーカーの一社となっており、2025年の販売台数は約41万台に達した。10年間で約3割増加しており、現在も米国は同社最大の収益源となっている。新型CX-5も北米市場のニーズを反映し、車体サイズを拡大した。
一方で、ブランド強化は依然として道半ばである。車の再購入率は改善傾向にあるものの、日本メーカーの中ではなお低水準にとどまる。マツダ幹部はかつて、ブランド価値の向上を「シャクトリムシ戦略」と表現していた。一直線に成長するのではなく、段階的に価値を積み上げるという考え方である。
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綾瀬はるか起用で“走りたい”ブランド体験を強化
ブランド改革をさらに象徴づける動きとして、マツダはHaruka Ayaseを新たなブランドアンバサダーに起用した。同社は「走りたい。を、つくりたい。Be a driver.」というメッセージを掲げ、人の気持ちを前向きに動かす体験価値を重視している。
広島にルーツを持つ綾瀬はるかは、自然体でありながら親しみやすく、前向きな印象を持つ存在として選ばれた。マツダは、彼女を通じて「どこかへ行きたい」「誰かと時間を過ごしたい」といった感情に寄り添うブランドイメージを広げていく考えだ。
新型CX-5のテレビCMも公開されており、「したいを叶える5つ星」というテーマのもと、クルマを通じて日常の行動や感情が前向きに変化していく様子が描かれている。綾瀬はるか自身も、「マツダと一緒に皆さんの『走りたい。』という気持ちをつくれたら嬉しい」とコメントしている。
EVシフトによって異業種参入が進み、中国メーカーを含む新興勢力が急速に存在感を高めるなか、マツダは規模ではなく“選ばれる理由”で勝負する姿勢を鮮明にしている。新型CX-5を軸に進める店舗改革、接客改革、ブランド発信の強化が、今後の競争力を左右する重要な試金石となりそうだ。(出典、画像:日本経済新聞、マツダ)
















