電通・佐野傑CEOが語るグローバル戦略 変化の時代に求められる「クライアント中心主義」とAI活用

カンヌ・ライオンズ2026のメインステージで、電通グローバルCEOの佐野傑氏が就任後初となる本格的な業界イベントに登壇した。CNBCのジュリア・ブアスティン氏との対談では、電通が直面する経営課題や、AI時代における企業のあり方について自身の考えを語った。

佐野氏は、広告・マーケティング業界を取り巻く環境について、「変化のスピード」「事業環境の複雑化」「競争優位性の確立」が現在の最大の課題であると指摘した。
こうした状況に対応するため、電通は急速な市場変化にも柔軟に対応できる組織づくりを進めるとともに、事業構造の簡素化を図り、世界中のクライアントにとって利用しやすい企業を目指しているという。

長期的な顧客関係を支える「クライアント中心主義」

対談では、電通が日本市場で長年築いてきた顧客との関係性についても話題となった。日本では100年以上にわたって取引を継続している顧客企業も少なくないが、佐野氏は、その背景には「クライアント中心主義」を企業文化として徹底してきたことがあると説明した。

ブアスティン氏から「こうした長期的な取引関係は海外では珍しい」と指摘され、「世界各地でも100年続くような関係性を築くことを目指しているのか」と問われると、佐野氏は「クライアントの成果を最優先に考え続ければ、結果として長期的な信頼関係は築かれる」と応じた。

同氏は、契約期間の長さを目的とするのではなく、顧客企業の成果に継続的に貢献する姿勢こそが、長期的なパートナーシップにつながるとの考えを示した。

AIは可能性を広げるが、未来を決めるのは人間

AIとイノベーションに関する質問に対して、佐野氏は、AIは企業や人材に新たな可能性をもたらす重要な技術であるとの認識を示した。一方で、その価値はAIそのものではなく、企業がどのような目的で活用し、最適な形で事業へ取り入れるかにあると強調した。

同氏は、AIによって選択肢は飛躍的に広がるものの、未来を描き、解決すべき課題や目標を設定する役割は依然として人間が担うべきであるとの考えを示している。AIは意思決定を支援する強力なツールではあるが、企業の方向性や社会が目指す価値を決定する主体にはなり得ないというのが佐野氏の基本的な見解である。

急速に進化するAI時代においても、人間の創造性や判断力、そしてクライアントの課題を深く理解する姿勢こそが、企業の競争力を左右する重要な要素であるとの認識を示した。(出典、画像:MediaPost)

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