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トランプ前大統領の反DEI方針に欧州が反発:企業によるDEIプログラムの見直しが相次ぐ

ドナルド・トランプ前大統領による反DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)政策の影響が広がるなか、欧州諸国がこれに異議を唱えている。アメリカ大使館がフランス、ベルギー、デンマーク、イタリア、スペインなどの現地契約企業に対し、トランプ氏の行政命令に従うよう求めたことを受け、各国政府は強く反発している。

ベルギーのマキシム・プレヴォ副首相は、「企業がDEIに尽力していることを理由に契約を打ち切ることは、ウィーン外交関係条約に抵触する可能性がある」と述べ、米国大使館に対して「ベルギー国内ではベルギーの法律を遵守すべき」と強調した。また、フランスのエリック・ロンバール経済大臣も「これは米国の価値観であり、我々のものではない」と明確な反対姿勢を示している。

企業によるDEIプログラムの後退と見直しの動き

一方、米国では多くの大企業がDEI関連施策の見直しや撤回を進めている。以下は、2024年以降に確認された主な動きである。
・UnitedHealth Group:DEI専用ページを削除し、「帰属の文化」という言葉に差し替え。
・MLB:採用サイトから「多様性」への言及を削除しつつ、組織としての価値観は変えていないとコメント。
・ヴィクトリアズ・シークレット:黒人労働者の採用目標を取り下げ、サプライヤー多様性目標を再評価。
・ステート・ストリート:指標としていた取締役会の多様性要件を削除。
・ワーナー・ブラザース・ディスカバリー:DEI部門名を「インクルージョン」に変更、外部調査から撤退。
・ゴールドマン・サックス:DEI項目を年次報告書から削除。
・パラマウント:採用における人種・性別多様性目標を撤廃。
・バンク・オブ・アメリカ:DEI目標を「才能」および「機会」に再定義。
・ブラックロック:年次報告書からDEIの文言を削除。
・シティグループ:DEIチーム名を変更し、採用における数値目標を取り下げ。
・ペプシコ:DEI最高責任者の役割を人材育成中心に変更。
・JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレー:DEI表現の削除や簡素化。
・コカ・コーラ:証券取引委員会への今後の提出書類からDEI記述を削除する可能性。
・アマゾン:採用に関するDEI項目を削除。
・アムトラック:DEIに関する方針・プログラムの撤廃。
・Meta(旧Facebook):一部の公平性・包括性プログラムの終了。
・マクドナルド:DEI目標の放棄、チーム名称を「グローバル・インクルージョン」に変更。
・ウォルマート:DEI用語の段階的廃止、LGBTQ関連商品の取扱方針の見直し。
・ボーイング:グローバルDEI部門を解体。
・モルソン・クアーズ:サプライヤー多様性要件とトレーニング内容を見直し。
・ロウズ、フォード、ブラウンフォーマン、ハーレー・ダビッドソン、ジョンディア:DEIへの対応方針を軒並み変更し、多様性関連の指標や支援策を縮小または中止。

企業と政治のせめぎ合い、DEIの行方は?

トランプ前大統領の行政命令によって、政府と契約関係を持つ企業は、法的・政治的な圧力を受けるかたちでDEIの施策を再構築している。その一方で、ヨーロッパの主要国は、こうした動きを自国の価値観に対する干渉とみなし、アメリカの動きに対し異議を唱えている。
このような状況は、グローバル企業にとって複雑な判断を迫るものであり、現地法の遵守とグローバルスタンダードの間でのバランスが求められている。今後、各国の法制度や政治情勢に応じて、企業のDEI方針はさらに多様化・分化していく可能性が高い。(出典:Forbes他)

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