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アジア株、トランプ前大統領の関税発動により数十年ぶりの急落 ― 世界市場に広がる影響

アジア各国の株式市場は、米国による大規模な関税導入の影響を受け、4月最初の取引日に大幅な下落を記録した。上海、東京、シドニー、香港といった主要市場は急落し、過去数十年で最悪水準の暴落となっている。上海総合指数は一時8%を超えて下落し、香港のハンセン指数は終値で13.22%安と2008年以来最大の下げ幅を記録した。日本の日経平均株価も7.8%安となり、アジア全域に不安が広がっている。

米国の関税政策が引き金に

今回の市場混乱の背景には、ドナルド・トランプ前大統領による大規模な関税措置がある。トランプ氏は、世界各国からの輸入品に10%から最大46%の関税を課すと発表。これにより、衣料品から自動車まで、アジア諸国の主要輸出品に大きな打撃が及んでいる。

たとえば、日本や韓国は26%の関税、ベトナムは46%、カンボジアは49%、タイは36%、中国に至っては合計54%の関税に直面している。シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドなども例外ではなく、すでに10%の関税が発効している。

投資会社バンガードのアジア太平洋チーフエコノミストである銭王氏は、「アジアはアメリカの関税強化の矢面に立たされており、高関税の新体制は今後も継続する可能性が高い」と述べた。アジア経済は、アメリカの景気後退リスクに対して特に敏感であり、輸出に依存する地域経済にとって、関税政策は深刻な懸念材料である。中国本土、香港、台湾の市場では、金曜日が祝日のため休場だったこともあり、週明けに売りが集中し、株価下落が一段と進行した。

台湾加権指数は9.7%安と過去最大の下落を記録し、オーストラリアのASX200は4.2%安、韓国のKOSPIは5.6%安となった。

ヨーロッパ・アメリカ市場への波及

欧州市場でも影響は顕著であり、ロンドンのFTSE100は5%近く急落し、過去5年間で最大の下げ幅を記録した。米国でも、S&P500を含む主要3指数はすべて5%以上下落し、S&P500は約6%安。2020年以来、米国市場にとって最悪の週となった。FTSEラッセルのジュリア・リー氏は、「関税はインフレと景気後退に関する懸念を増幅させており、世界の株価は今後もしばらく不安定な動きを続ける可能性がある」とコメントしている。

各業界への具体的な影響

影響は業界ごとにも広がっている。例えば、フランスのワイン業界では、ブルゴーニュワイン委員会が関税によって米国市場で最大1億ユーロの損失が出る可能性を警告。フランスのワイン生産者ヴァンサン・ダンプト氏も、「この関税は悪いニュースだが、200%関税の可能性が現実とならなかったことはまだ救いだ」と述べている。

また、ナイキやルルレモンなどの米国ブランドが製品を委託しているベトナムも深刻な打撃を受けると予測される。バングラデシュも例外ではなく、年間84億ドル相当の衣料品を米国に輸出している同国にとって、37%の関税は大きな逆風となっている。

元米国商務省国際貿易担当次官のフランク・ラヴィン氏は、「アジア諸国は米国への輸出比率が高いため、関税の影響は直接的に現れるだろう」と指摘する。

米国景気への影響と市場予測の変化

ゴールドマン・サックスは、米国が今後1年以内に景気後退に陥る確率を従来の35%から45%へと引き上げた。JPモルガンも同様に、米国および世界全体のリセッションリスクを60%と見積もっており、各種予測機関が相次いで見通しを修正している。

トランプ氏が「すべての国からの輸入品に対して10%の関税を課す」と宣言して以来、世界の株式市場は何兆ドルもの時価総額を失っており、中国、EU、ベトナムなどの主要な貿易相手国の商品には、より高い税率が適用される見込みである。

今後の見通し

専門家は、短期的な混乱だけでなく、長期的にも世界経済全体に深刻な影響が及ぶと予測している。アジア市場、特に開放経済に依存する小規模な国々は、米国の保護主義的な貿易政策の影響を最も強く受けることになりそうだ。製造拠点の移転やサプライチェーンの再構築が必要とされるが、そのプロセスには長期的な時間とコストが伴う。世界経済にとって、厳しい調整の時期が続くことが予想される。(出典:WSJ、日経、BBC他)

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