Instagram、横画面の長編動画をテスト モバイルとテレビで新たな視聴体験へ

動画ポッドキャストや連続エピソード形式のコンテンツがSNSで存在感を高める中、Instagramが長編動画への対応を進めている。同社は、横画面で視聴する長尺動画フォーマット「Features」のテストを開始した。スマートフォンだけでなくテレビでの視聴も想定しており、ポッドキャスターやコメディアンをはじめ、長編コンテンツを制作するクリエイターを主な対象としている。

「Features」では、最長90分の動画を投稿できる。Instagramはすでにブラジルで試験運用を行っており、今回、米国でのテストにも対象を広げた。現在は数万人規模のクリエイターが参加している。

テストに加わっているのは、ポッドキャストのホストであり、ファッションブランドSkimsの共同創業者でもあるエマ・グレデ氏、ファッション分野のクリエイターであるモネ・マクマイケル氏、ニューヨークの街頭インタビューで知られるプレストン・ラコフスキー氏、フットボール関連の動画を発信するドナルド・デ・ラ・ヘイ氏などだ。

Instagram責任者のアダム・モッセリ氏と、プロダクト担当副社長のテス・ライオンズ氏は、最近公開された対談の中で、同社が「Reelsのテレビ版」に相当するサービスの開発を進めていると明かした。実現に向けては、短尺動画だけでは十分ではなく、長編コンテンツにも対応する必要があるとの認識を示している。

今回の「Features」は、Instagram上でショート動画と長編動画の両方を楽しめる環境を整え、異なる視聴スタイルを結び付ける取り組みといえる。その背景には、スマートフォンで短い動画を次々と視聴する習慣に加え、テレビなどの大画面で腰を据えてコンテンツを楽しむ需要の広がりがある。

ショート動画と長編コンテンツを連携させる戦略

Instagramは、短尺動画と長編動画を競合するものではなく、相互に補完するコンテンツとして位置づけている。モッセリ氏は、じっくり座って楽しむ長編動画と、移動中などに手軽に視聴できる短尺動画を組み合わせることで、両者が共存できる仕組みを目指していると説明した。ライオンズ氏によれば、実際に多くのクリエイターが長い動画を制作し、その一部を切り出したクリップをReelsに投稿している。短い動画を新たな視聴者との接点として活用し、関心を持った人を長編コンテンツへ誘導する流れが生まれているという。

この構想を支える取り組みの一つが、大画面でInstagramの動画を楽しめる「Instagram for TV」である。同社は昨年、Samsung、Fire TV、Google TVと連携してこのフォーマットを開始し、最近では米国のApple TVにも対応した。テレビでの視聴環境を整えることで、スマートフォン中心だったInstagramの利用シーンを広げようとしている。

こうした動きは、Instagramに限ったものではない。動画ポッドキャストや連続エピソード型のオンラインコンテンツが人気を集める中、Meta、TikTok、YouTubeも過去1年間に、クリエイターやブランドが長編シリーズを制作・配信しやすくする機能を相次いで導入している。

特に注目されているのが、短いエピソードを連続して視聴するマイクロドラマだ。メロドラマのような展開を特徴とする作品がTikTokで人気を集めており、米『Business Insider』の報道によると、2025年には米国で視聴者からの直接課金によって13億ドルの収益を生み出した。

YouTubeでもマイクロドラマの視聴が急増している。2026年上半期の再生回数は65億回を超え、視聴時間は前年同期比で50%以上増加した。さらに、テレビ画面でのマイクロドラマの再生回数も、前年同期比で90%以上伸びている。短尺動画のプラットフォームでも、連続して物語を楽しむ長編寄りの視聴スタイルが広がりつつある。

ポッドキャスト市場の成長を取り込む

長編動画への対応を強化する背景には、ポッドキャスト市場の拡大もある。米国のポッドキャスト市場は、2030年まで年平均約20%の成長が見込まれている。音声を中心としてきたポッドキャストも、動画を組み合わせた配信が一般化し、SNSや動画プラットフォームにとって重要なコンテンツ領域となっている。

Instagramが「Features」で最長90分の動画に対応することは、こうした市場の変化を取り込む狙いがある。ポッドキャストのホストやコメディアンなど、長時間のコンテンツを制作するクリエイターにとって、既存のフォロワーとの関係を維持しながら、新たな視聴者にリーチする機会となる。

また、『The Hollywood Reporter』によると、Instagramはクリエイターと協力し、コンテンツに参加するブランドパートナーを探す計画もある。長編動画の配信環境を整えるだけでなく、企業との協業を通じて収益化の機会を広げることも視野に入れている。
Instagramの今回のテストは、短尺動画を中心に発展してきたSNSが、長編コンテンツやテレビ視聴へと領域を広げる動きの一つである。Reelsによる発見から長編動画の視聴へとつなぐ仕組みが定着すれば、クリエイターのコンテンツ戦略だけでなく、ブランドが動画を活用する方法にも変化をもたらしそうだ。(出典:Media Post、画像:Instagram、Unsplash)

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