• ニュース
  • HOME
  • ニュース
  • 電通2024年第3四半期決算:日本の堅調な成長とAPACの不振が明暗を分ける

電通2024年第3四半期決算:日本の堅調な成長とAPACの不振が明暗を分ける

電通グループは2024年第3四半期の決算を発表し、日本市場での堅調な成長とアジア太平洋地域(APAC)での低迷が対照的な結果となった。全体の既存事業売上高は前年同期比0.3%増と小幅な成長にとどまり、通期目標を下方修正することとなった。

日本市場の好調とデジタル広告の成長

日本市場ではインターネット広告の需要が引き続き拡大し、9ヶ月連続で純収入が過去最高を記録した。第3四半期の既存事業売上高は2.8%増と上半期(2.1%増)を上回る成長を示し、デジタル広告がその成長を牽引した。第3四半期の純収入は2,845億円(18億2,000万ドル)に達し、上半期の2,874億円(19億5,000万ドル)にはわずかに届かなかった。

APAC市場の苦戦

一方、APAC市場(日本を除く)は第3四半期に既存事業売上高が11.6%減少し、上半期の6.6%減からさらに悪化。特にオーストラリア市場ではCXM(顧客体験管理)分野の支出減少とメディア事業の低迷が影響している。タイやインドネシアの一部市場で見られた安定的な動きも、第3四半期には勢いを失った。

欧州・中東・アフリカ(EMEA)の安定

EMEA地域では、既存事業売上高が6.9%増と報告されたが、これは昨年の一過性の財務的影響に基づく低い比較対象によるもの。一方、スペイン市場では、昨年買収したオメガ(CXM事業)の影響で2桁の成長を達成した。英国ではCXMの売上比率が高いため、回復が遅れているものの、メディア事業の安定が全体的な業績を下支えしている。

グローバル戦略と今後の見通し

電通は「One Dentsu」戦略の下で統一運営を強化し、複数の新規グローバル案件を獲得した。しかし、CXM分野での国際市場の回復が遅れたことから、通期のオーガニック成長率見通しを1%増から横ばいへ、営業利益率を15%から14%へ修正した。

五十嵐浩社長兼グローバルCEOは、第3四半期の改善を評価しつつも、国際市場の課題を認めた。同時に、グループの中期的な方向性に自信を示し、「データ、テクノロジー、人材、企業文化への投資が将来の成長を支える」と強調した。電通は2025年2月に新たな中期経営計画を発表する予定であり、統合成長ソリューションをさらに強化していく方針である。

(出典: Campaign Asia)

最近のお知らせお知らせ一覧