
韓国の広告代理店デホン、AIで認知症患者と家族のつながりを支援する「A.I.ways Call」を開始
韓国の広告代理店デホンが、ボバス記念病院と共同で社会貢献型キャンペーン「A.I.ways Call」を開始した。この取り組みは、生成AIによる音声技術を活用し、認知症の初期段階にある患者と家族介護者との感情的なつながりを維持することを目的としている。高齢化が進む韓国では、認知症患者のケアを家族が担うケースが多く、日常的な介護負担が社会課題となっている。特に、患者が不安や孤独感から家族へ繰り返し電話をかける状況は、介護者の精神的負担を増大させる要因として指摘されている。

家族の話し方や会話内容をAIが学習
「A.I.ways Call」は、介護者の声の特徴や話し方、よく使う会話のテーマなどをAIが学習し、患者にとって自然で親しみやすい対話を実現する仕組みを採用している。患者はアプリ利用時にAIサービスであることを認識したうえで利用し、会話終了後には介護者に要約レポートが送られる。これにより、介護者は直接対応しなくても患者の状態や会話内容を把握できるようになる。認知症患者にとって、慣れ親しんだ声や会話のリズムは安心感を生み出す重要な要素であり、本プログラムはその心理的効果をテクノロジーによって補完することを狙っている。
実証研究で不安や精神的負担の軽減を確認
梨花女子大学コミュニケーション・メディア学科が実施したパイロット研究では、本プログラムを利用した参加者に顕著な心理的変化が確認された。研究チームによると、不安や精神的苦痛に関連する感情表現は約70%減少し、「あなたがいてくれると安心する」といった対人関係に関する前向きな反応が増加したという。また、家族介護者からも、繰り返しの電話対応によるストレスや精神的疲労が軽減されたとの報告が寄せられた。韓国では、認知症患者を介護する家族の約3分の1が抑うつ症状を経験しているとの調査結果もあり、今回の取り組みは、患者支援だけでなく介護者のメンタルケアにもつながる試みとして注目されている。

広告会社と医療機関が連携する新たな社会支援モデル
本キャンペーンはデホンが企画・運営を担当し、認知症治療を専門とする神経内科医であり、ボバス記念病院院長のナ・ヘリ博士が監修を務めている。広告会社がAI技術を活用し、医療・福祉分野の社会課題に取り組む事例としても特徴的である。近年、生成AIは業務効率化やエンターテインメント分野での活用が注目されてきたが、「A.I.ways Call」は、感情的ケアや孤独対策といった“人間関係の維持”にAIを応用した事例と言える。高齢化社会が進行する中、こうしたテクノロジーと医療の融合は、今後さらに重要性を増していく可能性がある(出典:branding in asia、画像:デホン)
















