オムニコム、IPG買収後の新体制を公表ー歴史あるDDB、FCB、マレンロウを廃止

AI・データ統合を軸としたグローバル再編に着手

米広告大手オムニコム・グループは、インターパブリック・グループ(IPG)の大型買収完了を受け、経営体制とエージェンシー構造の再編内容を明らかにした。買収額は130億ドル超とされ、統合後の売上規模は250億ドルを上回る見通しで、世界最大級の広告グループが誕生することになる。

CEOのコメントによれば、統合によって7億5,000万ドル規模のコストシナジー創出を目標に掲げており、その一環として全世界で約4,000人の人員削減を見込んでいる。IPGから移籍する人材・顧客基盤を含め、AI活用とデータ統合を軸にグローバル体制を再構築する方針だ。

ブランド体系を刷新、老舗エージェンシー名は段階的に廃止へ

新体制では、オムニコムが自社グループを6つの領域別ユニットに再編する。内訳は、メディア、広報、制作、広告、多角的エージェンシーサービス(ヘルスケアやブランディングなど)、そしてオムニプラットフォームやコマース領域を扱うユニットである。

広告領域を統括する新組織は、旧TBWAトップが率い、BBDO、マッキャン、TBWA、米国ローカル向け広告グループなどを束ねる構成となる。一方で、IPGのマレンロウやFCB、オムニコム傘下のDDBなど長年続いたブランド名が、新体制の下で徐々に使用を終了する方針が示された。大規模統合後のブランド整理が本格的に進むことになる。

2つの横断組織を設置、クライアント支援を統合的に運営

再編の柱として、全社横断でクライアント業務を支援する新たな2チームが創設される。ひとつは「グローバル成長チーム」で、大手顧客の課題把握やソリューション開発を統合的に管理する役割を担う。
もうひとつは「クライアント成功チーム」で、複数のグループ会社間にまたがるサービスを統合し、顧客ごとの戦略に合わせて提供する機能を持つ。

グローバル成長チームは、これまでOMDワールドワイドを率いてきた幹部が責任者に就任する予定で、クライアント成功チームは同社のクライアント部門トップが共同で牽引する。

データとAIを中心に据えた新経営方針

今回の統合再編は、広告事業がデータマーケティングとAI活用によって急速に変容するなかで、オムニコムが競争力を再構築する取り組みとも位置づけられる。特に、IPGから加わったデータマーケティング会社アクシオムの統合により、同社のメディアネットワークは大幅に強化される。

生成AIを活用したクリエイティブ制作、小売メディアやコネクテッドコマース領域でのサービス拡張など、成長市場を中心に事業開発が進む見込みだ。

オムニコムは今後、AI基盤「Omni」をグループ全体の共通プラットフォームとして展開し、IPGから加わる人材と資源を組み合わせることで、新しい統合型サービスモデルの構築を目指す。(出典:Marketing Dive, Branding in Asia他)

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