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【Cannes Lions 2025】ブランドパーパスは死んでいない:エデルマンが語る新しいブランドの役割

PR会社エデルマンのCEOであるリチャード・エデルマンは、ブランドの目的(パーパス)という概念が死んだわけではないと述べている。しかし、ブランドが果たすべき役割は以前とは異なり、ブランドには新たな仕事が求められているという。

エデルマンは、カンヌライオンズ・フェスティバルでのセッションにおいて、「目的は、私たちから私へと根本的にシフトした」と語った。ブランドは現在、「説得力のあるリーダーシップの瞬間」に直面しており、その役割が大きく変わりつつあるという。

消費者の変化とブランドの新たな役割

エデルマンによれば、消費者は過去5年間に「4つの打撃」を経験したと指摘している。これらの打撃とは、コロナ禍の影響、地政学的な不確実性、インフレとそれに伴う経済的苦難、そして雇用の安定性や失業に対する不安である。このような状況を背景に、「不平の風潮」や「敵対的な活動主義」が生まれたとエデルマンは説明した。

かつては、ブランドの目的は地域社会の支援や個人の善行を助けることに重きを置いていたが、現在では消費者に対してもっと個人的なつながりを求められていると彼は述べている。「それがブランドの新しい仕事だ」とエデルマンは強調した。

ブランドの信頼性と消費者との関係

エデルマンは、ブランドが他の機関よりも圧倒的に信頼されていることを指摘し、これは新しい現象であると述べた。消費者は、ブランドから購入するかどうかを自分で選べるため、ブランドが反応することが求められるという。現在、消費者の購買決定に影響を与える要素として、価格や品質に加えて「信頼」が重要な要素となっている。

さらに、消費者はサプライチェーンの透明性や従業員への待遇についても気にしており、「率直な話」をしてくれるブランドを評価する傾向にある。エデルマンは、ブランドがその信頼性を示し、消費者に安心感を与える必要があることを強調している。

エデルマンが提案する新しい形では、ブランドは単に製品やサービスを提供するだけでなく、消費者に安心感を与え、時にはその不安を解消する存在として機能しなければならない。「沈黙は選択肢ではない」とエデルマンは述べ、ブランドはどんなに困難な状況でも自分の声を上げ、積極的に行動することが求められている。

AIの進化とブランドの未来

一方で、パネリストのダン・シュルマン(元ペイパル、現JUSTキャピタルCEO)は、AIの進化が経済に与える影響について懸念を表明している。シュルマンによると、AIの進歩は今後1年で600倍強力になる可能性があり、それが経済を根本的に再構築することで、失業率が25%に達し、新卒の50%が失業する可能性があるという。このような状況は、ブランドのあり方や消費者の期待、そして経済全体に深刻な影響を与えることになる。

エデルマンは、ブランドの目的が単なる社会貢献から、消費者に対する個人的なつながりや信頼を築くことへと変化していることを強調している。この変化は、企業がどのように消費者と向き合い、何を提供するかに大きな影響を与える。ブランドは今後、消費者に対して安心感を提供するだけでなく、変化する時代に対応したリーダーシップを発揮することが求められているだろう。(出典:WARC、The Cannes Lions 2025 Festival of Creativity)

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