
US:BodyArmor、ブランド刷新でエナジードリンク市場に強力な一手
(イメージ:YouTubeより)近年、「リブランディング」と「ブランドリフレッシュ」の定義が議論される中、コカ・コーラによるボディアーマー・エナジードリンクのビジュアルアイデンティティ刷新は、単なるリフレッシュにとどまらない動きとして注目されている。むしろ「ブランド強化」と呼ぶにふさわしい変化である。
コカ・コーラのチーフマーケティングオフィサーであるトム・ガルギウロ氏は、「年月が経つ中で環境は変化してきたが、我々のDNAは不変であり、それは“大胆で、本物で、妥協しない姿勢”にある。この新しいビジュアルアイデンティティは、単なる見た目の刷新ではなく、ブランドの本質と今後の方向性を力強く示すものである」と述べている。
この刷新の柱となるのが、新たなロゴとパッケージデザインである。ロゴは従来のフォントを洗練させ、要素を一部削減・延長することで、より現代的で力強い印象へと進化した。パッケージでは、シンプルかつ直線的なシールドモチーフが採用され、味のバリエーションや栄養成分表示が目立つようになった。特筆すべきは、ビタミンや電解質の量、使用原材料(ココナッツウォーターや天然甘味料など)を正面に堂々と表示した点である。

これは、パフォーマンスドリンクに求められる透明性と機能性を明確に伝える動きだ。従来のエナジードリンクが“水分補給”を強調しながらも、詳細をぼやかしてきたのに対し、ボディアーマーは成分の裏付けを前面に押し出すことで、より信頼できる選択肢であることを訴求している。
キャッチコピー「Choose Better」は、その戦略を象徴している。これは、ゲータレードやパワーエイドといった競合製品との差異を浮き彫りにし、消費者に「より賢明な選択」を促すメッセージである。
デザイン開発には、ジョーンズ・ノウレス・リッチーが携わり、カラーパレットや果実の描写を刷新。特に、ストロベリーバナナやピーチマンゴーといった独自のフレーバー表現が、商品の差別化要素として際立っている。
このリブランディングは、テレビCMやデジタル広告などの大規模なキャンペーンと連動して展開されている。CMでは、暗い地下でドローンのように訓練されるアスリートたちが、毒々しい色のスポーツドリンクを手にする様子と、自然の中でボディアーマーを楽しむ一般人の対比を描き、「1984年」風の世界観でメッセージを強調している。
なお、このキャンペーンには一般人の起用が目立つが、プロアスリートの出演もあり、コナー・マクデビッド、サブリナ・イオネスク、ジョー・バーロウ、シーディー・ラムなどが登場している。
エナジードリンク市場では、かつて1991年にゲータレードがマイケル・ジョーダンと共に「Be Like Mike」キャンペーンを展開して以来、多くの競合が参入し市場が成熟してきた。今日の消費者はより知識が豊富で、製品そのものの信頼性を重視する。ボディアーマーは、成分と科学的裏付けに焦点を当てたアプローチにより、競争優位性を築こうとしている。
この動きは、単なる外観の更新ではなく、ブランドの立ち位置と価値を明確にする試みであり、今後のエナジードリンク市場における戦略的布石として注目すべき事例といえる。(出典:AdAge, Creative Bloq, Digital Marketing Dive他)