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US:米国への外国人訪問、3月に急減 ― 減少の背景と経済的影響

米国税関・国境警備局のデータを基にしたAxiosの分析によると、2025年3月中旬から下旬にかけて、米国主要空港での外国人入国者数が前年同時期と比較して大幅に減少したことが明らかになった。

この傾向は、外国人による訪米の減少が特定の地域だけでなく、広範に及んでいる可能性を示唆しており、年間1兆ドル規模とされる米国の旅行業界に対して警鐘を鳴らすべき変化である。

主な動向

米国で最も利用者の多い10空港における外国人の税関通過数は、7日間のローリング平均で見ると3月下旬に前年同期比で20%以上落ち込んだ。その後多少の回復が見られたものの、3月28日時点でも依然として前年比18.4%減となっている。一方、同期間における米国市民の帰国者数は、14%近く増加している。

春休み期間がこの統計に影響を与えている可能性はあるものの、複数の要因が外国人旅行者の訪米意欲を下げているとみられる。国際的な貿易摩擦、政治・経済の不安定さ、さらには入国時の対応に対する懸念などが挙げられる。

実際に、カナダ、フランス、ドイツといった米国の主要同盟国は、アメリカへの渡航に関する新たな注意喚起を発しており、中でもトランスジェンダーやノンバイナリーの旅行者を対象としたガイダンスも含まれている。

トランプ前大統領が最近発表した「パスポートの性別記載に関する新指針」も、性的少数者に対する懸念を増幅させた要因のひとつと考えられる。

業界の声と今後の見通し

業界関係者からは、米国行き航空路線の需要が弱まっているとの報告も出ており、一部航空会社は路線の見直しや運休を検討中だという。

ゴールドマン・サックスは3月31日のメモにおいて、外国人の入国数が落ち込んでいる背景には、移民政策の強化だけでなく、関税強化を含むより厳格な対外政策が影響している可能性を指摘している。

同社は、外国人観光客の減少や海外市場における米国製品の不買運動が、米国のGDP成長率に0.1%程度のマイナス影響を与えると予測している。

今後の展開

ゴールドマンの分析は、トランプ前大統領が新たに発表した大規模な関税政策に先行するかたちで公表された。仮にこれらの関税が維持され続けた場合、米国の観光業および関連する経済分野への影響はさらに拡大する可能性がある。

ただし、これらの政策が中長期的に旅行者数や経済指標にどのような形で反映されるかについては、依然として予測が難しく、各業界とも慎重な対応が求められている。(出典:Axios, WashingtonPost他)

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