
TBWA、新たなグローバル・ビジュアル・アイデンティティを発表
クリエイティブ・エージェンシーのTBWAは、グローバルネットワーク全体でブランドの視覚的な一貫性を高めると同時に、各市場や各エージェンシーが独自の表現を展開できるようにする新たなビジュアル・アイデンティティを発表した。今回の刷新を手掛けたのは、TBWAのグローバルデザイン部門であるDXDである。DXDはこれまで、Disney+、ゲータレード、リーバイス、ティファニー、TikTok、グラミー賞など、世界的なブランドやプロジェクトのビジュアル・アイデンティティ開発に携わってきた。
今回のリデザインで重視されたのは、ロゴそのものではなく、ロゴがなくてもTBWAだと認識できる視覚的なシステムをつくることである。TBWAのグローバル・チーフ・デザイン・オフィサー兼DXD責任者のブルーノ・レガロ氏は、今回の取り組みについて、単一のロゴにブランド認知を依存するのではなく、さまざまな媒体や環境で機能する独自のビジュアル言語を構築することが狙いだと説明している。同氏は、この考え方をTBWAの「ビジュアル・ソウル」と位置づける。特定のロゴを表示しなくても、色やタイポグラフィ、グラフィック、写真などの組み合わせによってTBWAらしさが伝わる仕組みを目指したものである。

手作業の質感を取り入れ、より人間的な表現へ
今回の新しいデザインシステムでは、TBWAのクリエイティブエージェンシーとしての個性をより強く表現するため、手作業を感じさせるビジュアル要素が取り入れられた。
具体的には、オリジナルのアイコンやインクの滴、スプレーのようなエフェクト、ペンによるストロークなどである。こうした要素をセリフ体のタイポグラフィや、TBWAを象徴するバックスラッシュを起点としたモノグラムなどと組み合わせることで、デジタルだけでは生まれにくい有機的な印象を加えている。
また、新たなカラーパレットには「Analog(アナログ)」と呼ばれる色が加わった。これは、文房具に使われる紙や古い封筒、さらにライカの写真などから着想を得たもので、デジタル環境の中にアナログメディアの温度感を持ち込むことを意図している。
写真表現についても方向性を変更した。従来の広告写真にありがちな、綿密にポーズを決めた人物や整えられた構図だけに頼るのではなく、動いている瞬間や自然な表情を捉えた写真を重視する。これにより、TBWAのビジュアルコミュニケーションをより自然で現代的なものにするとともに、クリエイティブエージェンシーらしい人間味を表現する狙いである。
TBWAのグローバル・チーフ・クリエイティブ・オフィサーであるチャカ・ソバニ氏も、デザインは同社のクリエイティブ活動において重要な役割を担い続けていると説明している。
新しいアイデンティティでは、デザインの完成度やクラフト感だけでなく、柔軟性や意味性も重視する。一方で、グローバルネットワークとして共通の認識を維持できるだけの基本的なルールも設けることで、統一感と自由度の両立を図っている。
世界各地のTBWA拠点へ展開
新しいビジュアル・アイデンティティは、TBWAネットワークの複数のエージェンシーへ順次展開される。
対象には、TBWA\Chiat\Day、adam&eveTBWA、TBWA\Media Arts Lab、TBWA\HAKUHODO、LOLAのほか、アフリカ地域の各拠点も含まれる。
今回の刷新が目指すのは、世界中の拠点で同じデザインを機械的に使用することではない。共通する視覚的な基盤を持ちながら、それぞれの市場や文化、クリエイティブチームが独自の表現を加えられる仕組みを構築することである。
そのため、新しいシステムには一定の統一性を保つためのタイポグラフィやカラー、グラフィック要素が用意される一方、写真や手描きの表現などには比較的大きな自由度が与えられている。
TBWAは今回のリブランディングを通じて、デザインを単なる装飾や見た目の統一にとどめず、エージェンシーそのものの個性やクリエイティブ文化を伝える重要な経営資産として位置づけている。
広告会社にとって、グローバルネットワークの拡大はブランドの一貫性と地域ごとの個性をどう両立するかという課題につながる。TBWAの新しいアイデンティティは、世界共通の「TBWAらしさ」を保ちながら、各地域がそれぞれの文化やクリエイティビティを表現できる柔軟なデザインシステムを目指したものだといえる。( 出典:MARKETING EDGE、画像:TBWA)
















