
花王、「ロリエ」をアジア戦略ブランドへ—9市場で新コミュニケーション展開
アジア9市場で統一キャンペーンを開始
花王の女性用ケアブランドであるロリエは、アジア地域におけるブランド力の強化を目的として、新たな地域コミュニケーション戦略を開始する。対象となるのはアジア9市場であり、月経に関する理解を広げることを目的としたブランドキャンペーンを展開する計画である。
この取り組みは、国際女性デーである3月8日に合わせてスタートする予定で、キャンペーンの中心メッセージは「共に創る快適さ」である。月経に対する社会的理解を促進し、女性が身体的にも心理的にも安心できる環境づくりを支援することが狙いだ。
今回のキャンペーンでは、アジア地域で統一されたブランドメッセージが用いられる。共通のキービジュアルに加え、9カ国・地域ごとに制作されたアンセム映像、専用のキャンペーンサイトなどが展開される予定である。花王は、この取り組みを通じて、月経に伴う身体的不快感そのものを完全に解消することはできなくても、周囲の理解が深まることで女性がより安心して月経期間を過ごせる社会環境を広げていきたいとしている。
本キャンペーンは、日本をはじめ、中国、香港、台湾、ベトナム、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシアなど、花王グループの各現地法人を通じて実施される。展開は2026年3月4日から順次開始される。
地域ごとの活動と教育支援
ロリエはこれまでも、各国・地域の社会状況に合わせたコミュニケーション活動を進めてきた。今回の新キャンペーンは、そうした地域施策を補完する役割も担う。
日本では、職場や教育現場での月経理解を促す「職場のロリエ」「学校のロリエ」といったプログラムを通じて、衛生用品の提供や啓発活動を行っている。
インドネシアでは「Dr.ロリエ」という取り組みを展開し、月経に関する相談や悩みに対して専門家の助言を受けられる仕組みを提供している。さらに同ブランドは、アジア9市場すべてで初潮教育にも取り組んでおり、若年層への正しい知識の普及にも力を入れている。
こうした教育活動や社会啓発は、製品販売だけでなく、女性が月経に対して前向きに向き合える環境を整えるというブランド理念の一環として位置づけられている。
グローバル統合戦略の次の段階
今回のコミュニケーション施策は、2023年から進められてきたロリエのグローバル統合戦略を基盤としている。花王はこの取り組みの中で、製品仕様の統一や生産拠点の集約、地域別ブランドガイドラインの整備などを進め、ブランド資産の一貫性と事業効率の向上を図ってきた。
また、アジア9市場で4,500人の女性を対象に実施した調査では、月経に伴う症状や行動制約が日常生活の快適さに大きな影響を与えていることが明らかになった。この調査結果は、共感を軸としたマーケティングの必要性を示すものとなり、今回のキャンペーン設計にも反映されている。
花王の衛生事業本部長である宮下和也は、次のように説明している。ロリエはこれまでグローバルな事業体制の統合を進めてきたが、今回のコミュニケーション活動はその次の段階にあたる。国境を越えて個々の声に耳を傾けながら、ブランドの価値観とビジョンをアジア全体で共有していく取り組みであるという。
同氏はまた、月経に関する悩みや感情は個人差が大きいものの、多くの場合それらが「耐えるべきもの」あるいは「個人的な問題」として扱われてきた現状を指摘する。ロリエは今回の活動を通じて、こうした認識を変え、月経を社会全体で理解し支えるテーマとして位置づけたい考えだ。
花王はロリエを、アジア事業における中核ブランドとして位置づけている。製品の提供に加え、教育や社会的サポートを組み合わせることで、女性が人生のさまざまな段階で力を発揮できる環境づくりを後押しする狙いである。女性が「どんな日でも」快適さと自信を持って生活できる社会の実現を目指し、ロリエブランドの役割は今後さらに拡大していくとみられる。(出典:MARKETECH APAC、画像:花王)
















