オレオとBTSが挑む世界規模のファンマーケティング戦略

K-POPカルチャーを取り込むブランド共創の新たな形

世界的なスナックブランドであるオレオが、韓国発のグローバルアーティストグループである BTS と大規模なパートナーシップを開始した。今回の取り組みは、BTSにとって初となるグローバル規模のスナックブランドとの提携であり、80カ国以上を対象に展開される。設立13周年という節目を迎えたBTSは、メンバーの兵役期間を経て本格的な活動再開局面に入っている。オレオは、この世界的な人気を誇るファンダムと接点を持つことで、若年層を中心としたグローバルな消費者との関係強化を狙っている。今回のキャンペーンは、限定商品の発売に加え、デジタル施策やファン参加型プログラムを組み合わせた包括的なマーケティングプロジェクトとなっている。

韓国カルチャーとファンダム文化を商品体験に落とし込む

キャンペーンの中心となるのが、韓国の人気屋台グルメ「ホットク」に着想を得た限定版オレオである。
ホットクは黒糖などを包んだ甘いパンケーキとして知られており、今回の商品ではその味覚イメージを取り入れたフレーバーが採用された。また、BTSを象徴するカラーである紫色を用いたウエハースが、オレオとして初めて採用されている。
さらにクッキー表面には複数の限定デザインが施されており、組み合わせることで特定のメッセージを完成させる仕掛けも用意された。この企画には、K-POPファン文化に深く根付く「収集」「交換」「コンプリート」といった行動特性が反映されている。K-POP市場ではアルバムやフォトカード、限定グッズなどを集める文化が強く、今回のクッキーも単なる食品ではなくコレクション対象として設計されている点が特徴である。

ソーシャル時代のブランド体験を拡張する参加型キャンペーン

今回の取り組みでは、デジタル上での参加体験も重要な役割を担う。消費者は商品パッケージに記載されたQRコードを読み取ることで、「BTSへの世界最大の手紙」と題されたグローバル企画に参加できる。ファンがメッセージを投稿し、それらを集約して巨大なファンレターを形成する仕組みである。この施策は、BTSファンコミュニティ「ARMY」において、アーティストへの手紙が重要なコミュニケーション文化として定着していることを踏まえたものだ。参加者には限定賞品が当たる機会も提供され、オンライン上での継続的なエンゲージメントを促進する。キャンペーンに合わせて公開された映像コンテンツでは、ソウルの夜景を思わせる空間を舞台に、紫色のオレオをモチーフとした世界観が描かれている。BTSの最新アルバム収録曲も使用され、ブランドとアーティストの融合を印象付ける内容となっている。

なぜ今、オレオはBTSを選んだのか

今回の提携は単なる有名人起用ではない。オレオを展開する Mondelez International は、近年、ブランド体験と消費者コミュニティの強化を重視している。BTSが持つ世界規模の熱量の高いファンダムは、その戦略と極めて相性が良い。また、オレオはこれまでもQRコードを活用した体験型施策やデジタルキャンペーンを積極的に展開してきた。今回の取り組みもその延長線上に位置づけられる。注目すべきは、商品そのものよりも「参加したくなる体験」を中心に設計している点である。従来の広告主導型マーケティングから、ファン自身がコンテンツを生み出し、共有し、拡散するコミュニティ主導型マーケティングへと軸足を移していることがうかがえる。世界中に数千万人規模のファンを抱えるBTSとの協業は、オレオにとって若年層との接点拡大だけでなく、ポップカルチャーの中心にブランドを位置づける戦略的な一手でもある。食品ブランドとエンターテインメントIPの連携は今後さらに加速するとみられるが、その中でも今回の事例は、ブランドとファンダムが共創する新しいマーケティングモデルとして注目を集めそうである。(出典:MARKETING DIVE、画像:オレオ)

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