安踏(Anta)がプーマ株約3割を取得、欧州大手への戦略投資

中国のスポーツウエア最大手、Anta Sports(安踏体育用品)は1月27日、ドイツのスポーツブランド大手プーマの株式29.06%を取得することで合意したと発表した。取得先は、フランスの富豪ピノー一族が所有する持ち株会社アルテミスで、取得額は15億1000万ユーロ(約17億9000万ドル)にのぼる。これにより、安踏はプーマの筆頭株主となる。
今回の取引は、今月上旬にロイターが既に報じていた内容を正式に確認する形となった。発表によれば、安踏はプーマ株4300万株を対象に、1株当たり35ユーロを現金で支払う条件で合意している。取引の完了には、安踏の株主承認および各国の規制当局による承認が必要となる。

株主承認と経営参画、完全買収は否定

安踏は今後、臨時株主総会を招集し、すべての条件が整い次第、取引を完了させる方針である。取引成立後には、プーマの取締役会への参画を目指すものの、現時点で完全買収を行う意向は示していない。
安踏の丁世忠会長は声明で、ここ数カ月のプーマの株価について「同ブランドが持つ長期的な潜在力を十分に反映していない」との認識を示した。そのうえで、プーマの経営陣と進めている戦略転換に対し強い信頼を持っていると述べている。
一方、プーマ側も今回の出資を前向きに受け止めている。アルトゥール・ホルド最高経営責任者(CEO)は声明で、安踏はプーマが持つブランドの可能性と歴史的価値を最大限に引き出し、世界の消費者およびステークホルダーに向けた長期的な価値創造を支援する意向だと説明した。今回の取引は、プーマの戦略的方向性に対する信任を示すものになるとの認識を示している。

中国市場とグローバル戦略を見据えた狙い

安踏は近年、マルチブランド戦略を積極的に拡大してきた。現在、傘下にはフィラ、ジャックウルフスキン、コロンスポーツ、マイア・アクティブなどを抱えるほか、サロモン、ウイルソン、ピークパフォーマンス、アトミックといったブランドを展開するアメアスポーツの筆頭株主でもある。
今回の出資により、プーマは中国本土市場での売上拡大を期待できる一方、安踏にとっては事業のグローバル化を一段と加速させる狙いがあるとみられる。プーマは現在、販売低迷に直面しており、新体制の下で業績と投資家からの信頼回復を目指している状況にある。
この発表を受け、プーマの株価は市場で大きく反応した。一時は17%急騰し、14時45分GMT(日本時間午後11時45分)時点でも9%高で推移している。ただし、株価水準自体は依然として過去10年での最低水準に近い水準にとどまっている。
今回の取引は、中国スポーツ用品大手による欧州有力ブランドへの出資という点で、グローバルな業界再編の流れを象徴する動きといえそうだ。(出典:Yahoo、画像:iStock)

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