
ディズニー、マーケティングを再統合ー結束力と機敏性を軸にした単一組織への転換
ウォルト・ディズニー・カンパニーは、マーケティング体制を大幅に再編し、分散していた組織を全社横断の単一部門へと統合した。ディズニー・エンターテインメント、ディズニー・エクスペリエンス、ESPNという三つの主要事業にまたがるマーケティング機能を一本化することで、ブランドの一貫性を高めると同時に、変化の激しい市場環境に対応する俊敏性を強化する狙いだ。
この統合組織を率いるのは、これまでディズニー初の最高ブランド責任者(CBO)を務めてきたアサド・アヤズである。彼は新たにチーフ・マーケティング・アンド・ブランド・オフィサーに任命され、ディズニーCEOのボブ・アイガーに加え、各事業部門の責任者にも報告する立場となる。
「分散最適」から「全社最適」へ──アイガーが描くブランドの再設計
今回の再編について、CEOのボブ・アイガーは「事業が進化する中で、ブランドの一貫性を確保し、消費者がディズニーの製品や体験とシームレスに関われる環境を整えるための全社的な役割が必要になった」と述べている。この発言は、単なる組織効率化ではなく、ブランド体験そのものを再設計する意思を示唆している。
統合後のマーケティング部門では、各チームが能力やツールを共有し、「より連携したアプローチ」で消費者と向き合う。これは、映画、ストリーミング、テーマパーク、スポーツという多層的な接点を持つディズニーにとって、断片化したブランド接触を一本の物語として束ね直す試みとも言える。
現時点では人員削減や役職整理が行われるかどうかは明らかになっていないが、変革の規模は大きく、マーケティング機能が経営の中枢にさらに近づいたことは間違いない。
アサド・アヤズ体制が示す、次世代ディズニーの競争軸
アヤズは2023年にディズニー初の最高ブランド責任者に就任し、創業100周年の記念事業を含む重要なマーケティングプログラムを統括してきた。また、過去8年間はウォルト・ディズニー・スタジオのマーケティング部門社長として、ストリーミング作品やハリウッド大作の戦略立案を主導してきた実績を持つ。直近では『ズートピア2』や『アバター:火と灰』といった大型作品のリリースにも関与している。
プレスリリースではAIについて明示的な言及はなかったものの、ディズニーはこの分野への関心を強めている。2024年12月にはOpenAIと3年間のライセンス契約を締結し、200以上のディズニー、マーベル、ピクサー、スター・ウォーズのキャラクターを、動画生成ツール「Sora」に導入する計画を発表している。これは、ブランドIPを次世代テクノロジーとどう結びつけるかという点でも、統合マーケティング体制の重要性を裏付ける動きだ。
パラマウントとスカイダンス・メディアの合併、ワーナー・ブラザースを巡る争奪戦など、エンターテインメント業界全体が再編局面にある中で、ディズニーは「組織をまとめる力」そのものを競争優位に変えようとしている。今回のマーケティング統合は、その象徴的な一手であり、ディズニーが再び“一つのブランド”として語られるための基盤整備と位置づけることができる。(出典・画像:ディズニー、Marketing Dive)
















