
AI Overviewsがパブリッシャーのトラフィックに深刻な影響—調査で判明
AI Overviews(AIO)は現在、Google検索の一部として導入されているが、初期の調査によれば、検索エンジンのトラフィックに依存するパブリッシャーにとって大きな課題となっている。検索結果のクリックスルー率(有料・オーガニックを問わず)が急激に低下していることが明らかになった。
パブリッシャーにとっての影響
AIO導入前は、パブリッシャーはGoogle検索のオーガニックトラフィックから約4%のクリックスルー率を期待できた。しかし、現在のGoogle検索はノークリック検索が増加しており、米国では検索の58.5%が次のアクションを起こさずに終了するか、別の検索に至るというデータが示されている。デジタルマーケティング企業Seer Interactiveによると、現在、Google検索からオープンウェブにつながるケースは約36%にとどまるという。
Seer Interactiveの調査では、1万キーワードを分析し、Google広告のCTR、Googleサーチコンソール、ZipTie AIOのデータを統合して、AIOが検索結果にどのように影響しているかを調査した。その結果、以下のような傾向が明らかになった。
- AIOが表示された場合、オーガニック検索のクリックスルー率は0.6%まで低下。
- Google検索広告のCTRは依然として高いが、リンク(17%)とAIO(6.5%)の間には大きな差がある。
- Googleの決算発表によると、AIOの収益化は従来のブランデッド検索結果と「ほぼ同じ割合」とされる。
これらのデータは、AIを活用した検索が普及する中で、パブリッシャーが直面する直接的な懸念を示している。Google検索を利用するユーザーが増える一方で、AIによる要約表示が拡大すると、パブリッシャーのウェブサイトへの直接的な流入が減少する可能性がある。
AI検索の拡大と情報のエコシステムへの影響
予測されていたオーガニックトラフィックの減少は、すでに現実のものとなりつつある。現在、多くのユーザーはAIチャットボットを直接利用しないが、Google検索を通じてAI Overviewsによる要約情報を取得するケースが増えている。これは、ユーザーやGoogleにとっては利便性の向上につながるが、パブリッシャーにとっては読者との直接的な関係を維持することがより重要になることを意味する。
しかし、質の高い情報提供者が経済的な理由でコンテンツを有料化したり、コンテンツの保護を強化する動きが広がることで、情報のエコシステムに混乱が生じる可能性がある。実際、GoogleはAIの信頼性に関する問題にも直面している。先週、GoogleのAIツールGeminiは「世界で消費されるチーズの50~60%はゴーダチーズである」という誤った情報を生成し、Googleはスーパーボウル広告を編集せざるを得なくなった。この件について、Googleクラウドのクラウドアプリケーション担当プレジデントであるJerry Dischler氏は、「これはAIの幻覚ではなく、他のウェブサイトからの誤った情報の繰り返しによるものだ」と説明している。
検索の変化にどう対応すべきか
マーケティング担当者は、検索エンジンの変化を理解し、それに適応することが求められる。 Seer Interactiveは、企業が以下の対応を取ることを提案している。
- 検索と有料広告のKPI(重要業績評価指標)を見直し、AIの影響を考慮する。
- AIの影響を追跡するための新しい指標を導入し、検索結果の変化を把握する。
- AIによる要約表示の影響を受けない、直接的な読者との関係を強化する戦略を構築する。
GoogleのAIによる検索要約の影響が今後どのように広がるのか、パブリッシャーやメディア業界の対応が注目される。(出典: Seer Interactive, WARC, BBC, Google、画像: Seer Interactive)