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ドライバーレス・カー(自律走行車)は屋外広告をどう変えるか

自律走行車(ドライバーレス・カー)の普及は、自動車文化だけでなく道路沿いの看板広告にも大きな波及をもたらすと指摘されている。DPAA(デジタル・プレイスベース広告協会)がニューヨークで開催した年次カンファレンスにおいて、フランソワ・ドゥ・ガスぺ・ボービエンは、その影響の方向性を具体的に語った。

自律走行車市場の現在規模や将来成長については見積もりが割れており、予測も多様である。確度に差はあるものの、運転という行為から人が解放されることで、移動中のメディア接触行動が大きく変わるという点では視点が一致しつつある。

視線はどこへ向かうのか

「人々は自律走行車の中で何をするか。答えはスマートフォンを見ることであり、ビルボードではない」とボービエンは指摘する。運転への注意配分が不要になると、視線は前方の屋外看板から手元デバイスへ移る可能性が高いという見立てである。

ボービエンは、ROI最大化を望むロードサイド看板の保有者への助言として「いま売却し、 ‘人が集まる環境’ へとアセットを再配置すべきだ」と述べた。非都市部の道路沿い看板は一定の価値を保ちうる一方で、「評価が最も高いのは今であり、AIとドライバーレス・カーの進展は都市部以外の道路沿い看板の価値を押し下げる」と警鐘を鳴らす。

DOOHへの追い風

一方で、デジタル・プレイスド・ベースドのスクリーン(DOOH/デジタル屋外)は今後価値が高まるとボービエンは見る。移動中の視線がデバイスや屋内外のデジタル面へ移行し、文脈に合わせた動的配信や計測が利く媒体が優位になるという前提である。

ボービエンは、現在のAI開発段階を「第一幕」と表現し、これから経験する変化は「産業革命を上回る規模」だと強調した。この変化の受益者の一つがDOOHであり、データ連携とクリエイティブ最適化の両輪で成長余地が広がるという見方である。

DPAAのバリー・フレイ会長兼CEOは、カンファレンスでAdvertiser Perceptionsの調査結果を紹介した。DOOHの出稿企業の88%が今後も同水準か増額での投資を意図しており、38%が「DOOHのROIは年々改善している」と回答している。成長を牽引する要因として「ターゲティング能力の高度化」と「オーディエンス・エンゲージメントの向上」が挙げられた。

戦略的示唆

視線の移動と接触環境の再編を前提に、静的なロードサイド依存から、人的フットトラフィックの濃い場所やモビリティ・タッチポイント、リテール/トランジット拠点へのポートフォリオ・シフトが鍵となる。クリエイティブは動的最適化と短尺・即応性を重視し、計測はID連携や来店・売上指標まで一貫して設計する。ドライバーレス時代における屋外広告の勝ち筋は、「人が集まり、データが流れ、文脈に寄り添う」面への集中と、AIを活用した運用精度の向上にあると言える。(出典:MediaPost)

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