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エレクトロニック・アーツ(EA)、史上最大規模のLBOで買収へ

サウジアラビアPIFなど投資コンソーシアムが総額8兆円超を投じる

大手ゲームメーカーであるエレクトロニック・アーツ(EA)は、サウジアラビアの公共投資ファンド(PIF)、米投資会社Silver LakeおよびAffinity Partnersからなるコンソーシアムにより、総額550億ドル(約8兆1,800億円)で買収されると発表した。本件は全額現金による非公開化投資としては過去最大規模のレバレッジド・バイアウト(LBO)とされる。

投資コンソーシアムはEA株式の100%を取得し、既存株主は1株あたり210ドルを現金で受け取る。これは直前の終値168.32ドルに対し、25%のプレミアムを上乗せした水準である。買収完了後、EAは株式市場から上場廃止となり、非公開企業として再出発する。

経営陣と投資家のコメント

EAのアンドリュー・ウィルソンCEOは「今回の合意は、我々のチームが築いた成果が正当に評価されたものだ。新たなパートナーとともに、次世代を鼓舞する体験を創造していく」と述べた。
一方、PIFのトゥルキ・アルノワイセル副総裁は「PIFは世界のゲームとeスポーツ領域で独自のポジションを持ち、ファン、開発者、IPクリエイターを結びつけるエコシステムを推進している」と強調した。

LBOによる影響と課題

本買収は約200億ドル(約3兆円)の新規負債を伴い、EAはレイオフやスタジオ閉鎖、IP売却などのリストラ策を講じる可能性があると指摘されている。特に、収益性の高いスポーツタイトルに関与していない部門が影響を受ける可能性が高い。
ただし、非公開企業となることで四半期ごとの業績報告に追われる必要がなくなり、短期利益ではなく長期的視野に基づいた開発投資を進めやすくなるという利点もある。

サウジアラビアPIFの狙い

今回の買収は、サウジアラビアがゲーム・エンターテインメント事業を成長の柱と位置づけていることを示す。中東地域ではスポーツゲーム人気が高く、PCプレイヤーの33%、コンソールプレイヤーの44%がこのジャンルを好むとされる。EAが保有する「FC」シリーズや「NBA LIVE」などの資産は、同国にとって戦略的価値が大きい。
ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子はエンタメ投資に積極的であり、過去には日本のゲーム企業SNKの買収を主導している。

懸念点と規制リスク

米メディアのArs Technicaは、米国拠点のゲーム大手がサウジ資本の支配下に入ることは、個人データの取り扱いなど安全保障上の課題を生む可能性があると警告している。ゲームはユーザー情報の宝庫であり、米政府による継続的な監視が避けられないとの見方だ。
また、サウジの保守的な社会規範が将来的にEAのゲーム内容に影響する可能性も指摘される。経済アナリストのマイケル・フッター氏は「もし『ザ・シムズ』のような作品からLGBTQ要素が削除されるような事態になれば、それはコンテンツ干渉の前兆として捉えられるだろう」と述べている。(出典:Engadget 他)

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