
ビヨンド・ミート、ブランド名を「ビヨンド」へ─植物由来タンパク質を“直接つくる”戦略に軸足
植物由来代替肉の大手であるビヨンド・ミートは、ブランド名を「ビヨンド」へ変更する方針である。代替肉の枠にとどまらず、植物由来タンパク質の“直接生産”を前面に掲げ、事業領域を広げる意図がある。
リブランディングの狙い
この方針転換は、肉の質感や味を模倣する発想から離れ、植物由来の原料そのものを基点に製品を組み立てるというブランドアイデンティティへの移行である。近時の財務上の逆風を受け、カリフォルニア拠点の同社はリブランディングをてこに、タンパク質市場の新たなセグメントを開きにいく構えだ。
リブランディングと歩調を合わせ、「ビヨンド・グラウンド」という新製品を今月投入する予定である。従来の牛ひき肉に代わる持続可能な選択肢として位置づけ、ソラマメ、ジャガイモでん粉、水、サイリウムハスクといった、栄養性と認知しやすさを両立する原料をシンプルにブレンドした設計としている。
シンプルさと「選べる」価値の強化
同製品の開発姿勢は、消費者の嗜好変化に沿う。すなわち、原材料がはっきり分かること、製法がシンプルであること、そして“肉らしさ”の再現に過度に依存しないことを重視する声が強まっている。ProVeg Internationalのシニア・コーポレート・エンゲージメント・マネージャーであるジュリアン・コッティー氏も、肉中心の食生活から植物中心へ移行を促すには複数の戦略が要ると指摘し、その一つとして「なじみのある味や見た目」を備えた選択肢の提供を挙げる。選べる選択肢が広いほど、移行は進みやすいという見立てである。
社が「ビヨンド・ミート」から「ビヨンド」へと改称するのは、肉の模倣から距離を取り、植物由来タンパク質を直接生み出すというコミットメントを鮮明にするためである。リブランディングを通じてタンパク質市場の新たなセグメントに参入し、直近の財務上の課題を乗り越える足がかりとする狙いがある。
同時に発表される新製品は「ビヨンド・グラウンド」で、従来の牛ひき肉を置き換え得る持続可能な選択肢として位置づけられる。原料はソラマメ、ジャガイモでん粉、水、サイリウムハスクという馴染みやすい材料に絞り、シンプルなブレンドで仕立てる。
こうした方向性の背景には、消費者が認識しやすい原材料やシンプルな製法を重視し、過度な“肉らしさ”の再現を必ずしも求めないという嗜好変化がある。見た目や味が馴染みのある製品は、肉中心から植物中心への食生活の移行に橋を架ける役割を果たし、選択肢が多いほど切り替えは容易になるという考え方である。(出典:Beyond Meat, Retail News他)