
ZARA、全商品にICタグ導入でリサイクル推進へ
世界的な衣料品ブランド「ZARA」は、全ての販売商品にICタグを縫い付けることを発表した。この取り組みは、消費者に対してより持続可能な選択肢を提供し、リサイクルの促進を図るための新しいステップである。
ZARAを展開するスペインのインディテックスは、2025年から全商品に製造工場などの情報を記録できるICタグを縫い付け、販売後も商品の原材料情報が残るようにする。この新しい仕組みは、修繕やリサイクルを容易にし、持続可能な循環型経済の構築に貢献することを目指している。
ICタグの用途と利点
ZARAは、これまでに在庫管理にICタグを活用していたが、今回の取り組みでは、商品自体に直接ICタグを縫い付けることで、消費者が購入後も製品の製造履歴を把握できるようにする。これにより、消費者は商品を使い終わった後でもリサイクルしやすくなる。
また、このICタグは、商品の製造過程や素材に関する情報を提供するため、リサイクルや修繕が容易になるほか、企業が環境に配慮した製品作りを行っていることを消費者に示すことができる。
欧州規制への対応
欧州連合(EU)は、2024年7月に新たな環境対策として「エコデザイン規則(ESPR)」を発効させ、製品の追跡性を高めるための「デジタル製品パスポート(DPP)」を段階的に導入することを決定した。この規則により、リサイクルや修繕が容易になるように、製品ごとにIDを付与し、製品の製造過程や素材の情報を確認できるようにすることが求められる。
日本では、欧州での動きを踏まえ、2024年6月に経済産業省が「繊維製品における資源循環ロードマップ」を公表し、リサイクルしやすい設計や環境負荷の少ない素材の使用を推奨する規格を設定した。このような規制強化は、ZARAの取り組みをさらに後押しし、日本国内の消費者や企業にも影響を与えると期待される。
業界への波及効果
ZARAのこの取り組みは、持続可能性の意識が高まる中で、衣料品業界に新しい流れを生む可能性がある。ZARAは、ファストファッションの代表格として知られ、大量生産・大量廃棄のイメージが強い一方で、今回の取り組みは環境への配慮を示すものとして注目されている。
業界内でも、ZARAのように持続可能な取り組みを導入するブランドが増えることが予想され、これが全体のブランド戦略に新たな影響を与える可能性がある。
ZARAのICタグ導入は、環境への配慮を前面に出した新しい取り組みであり、消費者に持続可能な選択肢を提供するだけでなく、リサイクルや修繕の促進を図ることができます。これにより、企業は環境に優しい方法で製品を流通させることができ、消費者の環境意識の向上にも貢献するでしょう。また、欧州や日本の規制強化を受け、業界全体が持続可能な方向に向かうきっかけとなる可能性があります。(出典:ZARA, EuroNews, 日経新聞他)