
ビヨンセのCécred、初のブランドキャンペーンで「髪と人との関係性」に迫る
(写真:Cécred)ビヨンセ・ノウルズ=カーターが手がけるヘアケアブランドCécredは、初となるブランドキャンペーン「A Deeper Understanding of Hair(髪への深い理解)」をスタートさせた。このキャンペーンは、6人の実在する女性たちのヘアケア体験をドキュメンタリースタイルで描いた映像を中心に展開され、髪が持つ感情的・文化的な意味を掘り下げる内容となっている。
制作には、数々の受賞歴を持つ広告代理店Wieden+Kennedyが携わり、Cécredと共に、徹底的な定性調査やソーシャルリスニング、コミュニティとの対話を通じて企画が練り上げられた。
感情に訴えるリアルなストーリーテリング
同ブランドのマーケティング・クリエイティブ担当上級副社長、ティファニー・プラター氏は、「私たちは完璧に整ったサウンドバイトや、台本通りの発言には興味がありませんでした」とコメント。「真の目標は、人々が自らの言葉で語り、個人的な経験を共有することで、誰もが共感できる“人間らしさ”を感じられる空間をつくることにありました」と語っている。
このキャンペーンでは、映像だけでなく、オンラインビデオ、コネクテッドTV、ソーシャルメディアを活用したプレミアムな広告展開も予定されており、視聴者の関心を引きながら、教育的かつ情緒的なストーリーを届ける戦略が取られている。
「髪は共同体であり、誰にとっても感情的なつながりを持つもの」という気づきが、このプロジェクト全体の起点となっている。Plater氏は、「映像を通じて個人のストーリーを際立たせながらも、多くの人が自分を投影できるような構成を意識しました」と語っており、リアルな声に焦点を当てる姿勢が、Cécredのブランド哲学そのものである。
Ulta Beautyとの提携とCécredの市場展開
2024年2月に発売されたCécredは、4月6日よりUlta Beautyの全米1,400店舗とオンラインストアで本格的に展開を開始。Ultaのサロンでは、Cécredのバックバー製品やシグネチャーサービスも導入され、リテールおよび体験の両面から消費者との接点を広げている。
Cécredは、2023年に公開されたビヨンセのコンサート映画『Renaissance: A Film by Beyoncé』で初めて予告され、以降、ビヨンセ自身がSNSで商品を紹介するなど、パーソナルなストーリーテリングを軸としたプロモーションを展開してきた。
影響力あるアンバサダーとしてのビヨンセとティナ・ノウルズ
Cécredの共同設立者であるビヨンセと、その母でありブランドの副会長も務めるティナ・ノウルズ=ローソンは、個人的なヘアケアの経験を通じてブランドに深みを与えており、その影響力は非常に大きい。プラター氏は、「彼女たちの経験はパワフルな洞察をもたらすものである一方、他の声を尊重し、持ち上げることの重要性も私たちは理解しています」と強調している。
Wieden+Kennedyとの継続的な協業にも注目
このキャンペーンは、Wieden+Kennedyが最近手がけたナイキの「So Win」や、マクドナルドのジョン・シナ起用キャンペーンなどと並ぶ、同社の代表的な取り組みの一つでもある。今後のさらなるコラボレーションにも注目が集まる。
Cécredのキャンペーンは、製品を単に売るだけでなく、「髪を通して人と人とをつなげる」ことを目的としたものであり、そのストーリー性と真摯なメッセージは、多様な背景を持つ消費者の共感を呼びそうだ。(出典:Cécred、AdAge、Marketing Dive他)