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ナイキ、厳しい事業環境下でターンアラウンド戦略を加速

ナイキは現在、トリッキーな事業転換の真っただ中にある。市場シェアの回復と新たな顧客層の獲得を目指し、同社はスポーツという原点に立ち返り、小売業者との連携強化にも再び注力している。ブランド価値の再定義と、販売チャネルにおける戦略的再構築が同時に求められている状況である。

短期的な売上減と在庫処分の必要性

ナイキは、旧モデル在庫の一掃に向けて値引き販売を強化しており、それが短期的な売上減少を引き起こすと見込んでいる。投資家への説明では、現在の最優先課題は「旧在庫の移動」であることが強調されている。主力市場や注力セグメントを強化する前に、在庫整理が避けられないとの認識である。

ブランド再強化への取り組み

2024年は、ナイキがマーケティングとカルチャー領域で再び大胆な賭けに出た年となっている。スーパーボウルでは、女性アスリートをフィーチャーした広告を展開し、大規模な復帰を果たした。続いて2月には、女性向けブランド「SKIMS」との提携を発表し、女性視聴者との関係再構築に乗り出した。最高経営責任者のエリオット・ヒル氏は、「私たちは成果を出すリズムを取り戻すため、集中力と緊急性をもって取り組んでおり、今後はそれを持続できるかが鍵となる」と語っている。

2024年の第1四半期において、売上高は前年同期比で3%減の113億ドルとなった。地域別では、北米が4%減の48億6,000万ドル、中国が17%減、EMEA(欧州・中東・アフリカ)は10%減となっている。また、純利益は7億9,400万ドルで、前年の11億7,000万ドルから32%の減少となった。売上総利益率も330ベーシスポイント低下し、41.5%に留まった。

構造的な課題と戦略の見直し

ナイキは、オウンドチャネルとサードパーティー小売業者との関係を再考する必要に迫られている。マーケティングの主目的が需要の喚起と店舗への集客である以上、自社チャネルが他の小売業者と競合してしまうと、かえって流通全体に悪影響を及ぼす可能性がある。

また、近年のマーケティング上の課題だけでなく、ランナーの間でより専門的なブランドへの支持が広がっており、ナイキはその対応にも追われている。今後は、主要な卸売パートナーとの関係修復、デジタル戦略の再定義、小売チャネルの健全化といった複数の課題に対応する必要がある。最高財務責任者(CFO)のマット・フレンド氏は、ナイキの今後の重点施策として以下の4点を挙げている。

1. 新製品の継続的投入:革新的かつ魅力的な商品を安定的に投入し、鮮度を維持する。
2. ブランドエンゲージメントの強化:消費者との深いつながりを構築し、ブランドの存在感を高める。
3. ナイキ・デジタルの再位置づけ:自社ECを「需要を奪う」ものではなく、「需要を創造する」ものとして機能させ、卸売業者の支援に転換する。
4. 市場の健全化:値引き競争から脱却し、持続可能な小売エコシステムを再構築する。

地域別では、アメリカ、イギリス、中国が優先市場とされ、特に中国市場は「最も積極的なリセットが必要」と指摘されている。フレンド氏は、「中国の消費者をより有意義に刺激するため、当社は再び積極的に動き出す」との意向を示した。ただし、過剰在庫の整理には数四半期を要する見込みである。

ナイキは、地政学的緊張、関税の変動、為替リスク、そして消費者心理の変化といったマクロ経済的要因による影響も受けている。これらの要因により、2024年第4四半期の利益率はさらに低下する見通しである。

ナイキは現在、困難な環境下で自社の基盤を見直し、ブランド力と小売チャネルの信頼を再構築しようとしている。市場の変化と消費者の価値観の変化に対応しつつ、ナイキらしさを再び際立たせることができるかが、今後の成長を左右する重要な鍵となる。(出典:WARC、NIKE他)

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