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AIブランドがロイヤリティの新基準を塗り替える─ChatGPTがトップ10入り

Brand Keysが発表した最新の「Loyalty Leaders(ブランド忠誠度リーダー)」調査によると、ChatGPTのような生成AIブランドが、わずか数年で消費者の信頼と支持を獲得し、従来型企業の牙城を崩し始めていることが明らかになった。

 

AIが築く新しいロイヤリティ構造

かつてブランドが消費者との深い関係を築くには、何十年もの時間と巨額の広告投資が必要だった。しかし今や、生成AIがその常識を覆しつつある。第17回ロイヤリティ・リーダーズ・ランキングでは、ChatGPTが昨年の40位から8位へと急上昇し、GoogleやMicrosoftなどのデジタル巨人と並んでトップ10入りを果たした。

ランキング上位には、アマゾン(1位、前年2位)、グーグル、マイクロソフト、アップル(前年1位から転落)、コカ・コーラ(76位から5位へ急浮上)などが名を連ねた。また、サムスンやパラマウント+、TikTok、リーバイ・ストラウスといったブランドもトップ10入りしている。

Brand Keysの創設者であるロバート・パシコフ氏は、「ロイヤリティはもはや“石”ではなく“コード”でできている」と述べ、AIと顧客体験(CX)の融合がブランド忠誠度の新たな基盤を形成していると分析した。

高まる期待とブランド体験の格差

パシコフ氏によれば、消費者のブランドに対する期待値は前年比で約30%上昇している一方、実際にブランドが提供できている体験は9~11%程度の伸びにとどまっているという。この「ギャップ」こそが、ブランドがロイヤリティを生む余地であり、AIがそれを埋める役割を担っている。

ChatGPTの急速な成長は、AIツールがエンターテインメントや飲料などの従来型ブランドと同じように、感情的なつながりを形成できることを示している。AIが提供する「個別最適化された体験」が、ユーザーの関与を加速させているのだ。

伝統ブランドのデジタル変革

一方、コカ・コーラのような伝統ブランドも、デジタル化を通じて新しいロイヤリティモデルを確立しつつある。同社は、AIやデータを活用した「メモリー・メーカー」プロジェクトを展開。顧客が自身の名前入りのボトルやカスタマイズ動画を作成できる仕組みを導入し、若年層を中心にブランド愛を再燃させている。

「パーソナライゼーションは、感情的な結びつきを強化し、ソーシャルメディアを介して愛着を拡散させる。コカ・コーラはそれを見事に実践している」とパシコフ氏は語る。

テクノロジーがロイヤリティを再定義

マクドナルドもまた、デジタル変革によってロイヤリティを強化している好例だ。同社はアプリ経由での注文やAIプロモーションを進化させ、顧客データを活用した個別対応を拡大。これにより、リピーター率の向上と売上成長を実現している。

ストリーミング業界でも変化が起きており、Paramount+はNetflixやDisney+を上回る勢いで67位に急上昇。テクノロジーを駆使したエンゲージメント強化が功を奏している。

ロイヤリティの未来:AIによる「関係の最適化」

パシコフ氏は、ロイヤリティの概念そのものが変化していると指摘する。従来のポイント制や会員プログラムではなく、AIがユーザーの感情や行動、ライフステージをリアルタイムで把握し、最適なブランド体験を提供する「予測的ロイヤリティ」時代が到来しているという。

AIはショッピング、メディア、健康、金融など日常のあらゆる行動に統合されつつあり、トランザクション型の関係から、より“感情的でパーソナルな関係”へと進化している。

「これからは、消費者がブランドを選ぶのではなく、AIが消費者に代わってブランドを選ぶようになる。信頼と履歴、そして文脈に基づいた関係性がロイヤリティを決定づける」とパシコフ氏は語る。

最終的に勝つのは、パーソナライゼーションと感情的共鳴を提供できるブランドである。AIが築く“見られているという安心感”こそが、現代のロイヤリティの中核となっている。(出典:Media Post他)

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