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『2026年APAC旅行トレンド』ヒューマノイド・ホームからグロー・ケーション、ロマンチック・リトリートまで

Booking.comは10周年となる「Travel Predictions」最新レポートで、2026年の旅を形づくる動機・テクノロジー・体験の変化を提示した。画一的な行程から離れ、個性や情熱を反映する“自分らしい旅”が主流になると示唆している。アドレナリンを求める冒険、神秘性の高い旅、近未来的な滞在など、選択肢は拡張していく。

レポートについて

本調査は33の国・地域、29,000人超の旅行者データに基づく。前回は猛暑回避の「クールケーション」や責任ある滞在を志向する「コンシャス・トラベラーズ」を追跡したが、2026年版では、気の合う仲間と超パーソナライズドな旅を叶えるテクノロジーの浸透が際立つ。

APAC担当マネージング・ディレクターのコメントにもあるように、同地域では旅行が引き続き最優先事項であり、ファンタジーへの没入、ドライブ旅、先端技術を取り入れたレンタル滞在などが関心を集めている。

1. ヒューマノイド・ホーム

バケーションレンタルは、スペースとプライバシーを超えて“未来化”する。清掃ロボットが片付け、ロボットシェフが調理と後片付けを担い、水・エネルギー・廃棄物はスマートに最適化される別荘が現実味を帯びる。

APACの86%がロボット機能付き住宅の予約に前向きで、48%は清掃ロボット、37%はロボットシェフ、26%は舞台裏のサステナビリティ管理に関心を示す。SF的な斬新さ(31%)や“自慢要素”(23%)も動機となり、実用と遊びの境界が溶ける滞在体験が広がる。

2. Roadtrip Rewired

ドライブ旅行は、家族・友人の枠を超えて道中の新しい仲間とも共有する“開かれた旅”へシフトする。休暇中の相乗りに前向きな人は86%、同じルートの旅行者をアプリで探したい人は63%。自発性・柔軟性が高まり(83%)、新たな出会い(79%)や運転負荷の分担(79%)への期待が強い。

Z世代の78%、団塊世代の72%が自動運転やAIルーティングに肯定的で、APACの72%が生成AI等で“自分好みの秘境ルート”の提案を望む。

3. Glow-cationsグロー・ケーション)

スキンケア特化のウェルネス旅が本格化する。APACの82%が個人の肌ニーズに合わせた複数トリートメントを提供する“グロー・ケーション”に好意的で、65%がAIで適地選びや肌中心のハイタッチ旅を検討。

地域の気候や活動に合わせた水分補給ステーション(78%)、リアルタイムで毛穴や水分を分析するスマートミラー(72%)、サーカディアン照明・サウンドスケープを備えた睡眠最適化スイート(80%)への関心も高い。古代の温泉儀礼からDNA・マイクロバイオーム検査まで、手法は幅広い。

4. PastPortsパストポート)

思い出そのものが目的地になる。AIによるフォトマッピングやヘリテージ・トレースにより、過去の瞬間が起きた“まさにその場所”を特定し、再訪できる。APACの75%が撮影地の正確特定と再現旅の検討を表明。

動機は家族・親友との記憶の再訪(49%)、若さやつながり、故郷感を喚起する土地への惹かれ(51%)など。個人成長の振り返りや再会(37%)、困難な記憶への区切り(28%)といった節目としての側面も強い。

5. ロマンチック・リトリート

“ロマンタジー”人気を背景に、物語世界へ足を踏み入れる旅が拡大する。魔法の城、神秘の森、中世の宴や仮面舞踏会といった設定が、別世界の隠れ家を演出。

APACの79%がロマンスに触発された目的地に関心を示し、65%が好きなゲーム/本/映画を題材にしたロールプレイ型リトリートに前向き(28%は将来の確定計画として取り入れたい)。AIの提案で“絵本”のような滞在や実在する撮影地の特定を支援するサービスも受容が高い(82%)。

6. Shelf-ie Souvenirs棚の上のお土産)

キッチンの棚が文化のショーケースになる。冷蔵庫マグネットからパントリーへと“飾る土産”の重心が移り、食べられる/デザイン主導の宝物が求められる。

APACの74%が手描きスパイスジャーや職人のオリーブオイル缶など、デザイン性の高いキッチン・パントリー用品の購入を検討。67%は同分野で有名な土地への旅自体を計画する。食べられる土産で旅を想起する(29%)、工芸・サステナビリティ・伝統手法の紹介価値を評価(28%)、希少性や限定品、SNS映えで目的地を選ぶ(20%)といった動機が台頭する。

7. Turbulence Test乱気流テスト)

休暇は“相性・適応力・共同作業”を試す場にもなる。APACの72%が、パートナー候補や同僚、新しい友人と旅に出て関係性を見極めることに前向き。

同行者の曖昧さや不快への対処を確かめるために遠隔地を選ぶ人は66%。役割逆転のリトリート(いつものプランナーが譲る、内向的な人がリード)への関心は68%、予算・言語・通信など制約のある旅の受容も68%。計画は任せたいという多数派(77%)の傾向も見える。Z世代は特に実験的で、85%が現実の力学をシミュレートするカスタム行程にオープンだ。

8. Destined-ations運命の出会い)

月齢や占星術といった“宇宙のリズム”が旅程決定の新しい羅針盤になる。APACの60%はスピリチュアル・アドバイザーの助言で計画変更・キャンセルを検討し、56%はホロスコープの警告で再考、51%は水星逆行時に調整すると回答。

月の満ち欠けや至日に合わせた旅、エネルギーが濃い場所を訪れるなど、宇宙的タイミングを取り込む人も多い(46%)。Z世代(60%)とミレニアル(51%)で感度が高い。

9. Hushed Hobbies静かな趣味)

騒音や過刺激から離れ、静けさの中で心身を整える旅が広がる。APACの46%が自然との近接を理由に休暇を取り、30%が“静かな趣味”に目を向ける。

蛾・蝶の観察や昆虫観察(66%)、釣り・バードウォッチング(77%)、原生林のホットスポットでの採集とローカル食の体験(79%)など、環境と深く結びつく活動が人気だ。リアルタイム識別アプリやAIによるトレイル・生息地・季節移動の提案が体験を後押しする。多くをこなすより“少なく、深く”が充電の新定義になる。

10. 現代のマイルストーン・ミッション

旅は伝統的儀礼だけに紐づかない“自分を祝う”行為へ拡張する。APACの66%は旅行に理由を要さないと答え、16%は従来の節目を待たずに夢の目的地へ向かう。

75%は「よく働いた/休暇に値する」こと自体を正当化理由に挙げる一方、昇進や新しい仕事(26%)、思わぬ還付(14%)、別れの区切り(14%)、新しい服を披露(9%)など、多様な動機が台頭。断酒やフィットネス達成などウェルビーイング関連の節目も動機づけとして強まり(24%)、喜び・自己承認・等身大でいられる旅が中心となる。

まとめ

2026年のAPAC旅行は“個性の可視化”と“テクノロジーによる超最適化”が両輪になる。ロボティクスや生成AIが旅の設計と現場体験を底上げし、同時にノスタルジー、静けさ、物語性といった深層欲求を満たす。

旅行者は自分らしさを祝福し、記憶と未来を往還しながら、少ない刺激で豊かな没入を実現する旅へと舵を切る。企業や地域は、超パーソナライズ、ハイブリッド体験、責任あるテック活用を前提に、感情価値と実用価値の両立を図ることが求められる。(出典:branding in asia、画像:iStock)

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