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Coachella 2025:音楽を超えたブランド体験のショーケース

2025年4月、カリフォルニア州インディオの砂漠で開催された「Coachella Valley Music and Arts Festival(以下、Coachella)」は、音楽イベントの枠を超え、ブランドやマーケティングの最前線を体現するグローバルな祭典として、その存在感を一層強めた。 Coachellaは、単なる音楽フェスティバルではなく、文化・ファッション・テクノロジー・マーケティングが交差するグローバルイベントへと進化している。2025年の開催では、ブランド各社がこぞって没入型の空間やデジタルと連動した体験設計を持ち込み、音楽を媒介にした“文化的マーケティング”の最先端が展開された。

グローバルイベントとしてのCoachellaの位置付け

Coachellaは、1999年の初開催以来、音楽とアートの祭典として成長を遂げ、現在では世界中から12万人以上の観客を集める一大イベントとなっている。 2025年のラインナップには、レディー・ガガ、グリーン・デイ、ポスト・マローン、トラヴィス・スコットなどの大物アーティストが名を連ね、ジャンルや国境を超えた多様な音楽体験を提供した。

また、K-POPのLISAとJENNIE(BLACKPINKメンバー)のソロステージや、メキシコのジュニアHによるコリードスのパフォーマンスなど、地域色豊かなアーティストの出演も目立ち、グローバルな音楽文化の交差点としての役割を果たしている。

ブランドとマーケティングの戦略的展開

Coachellaは、音楽フェスティバルであると同時に、ブランドにとってはマーケティングの実験場でもある。 2025年は特に、インフルエンサーとの連携や体験型マーケティングが際立った。

インフルエンサーとの協業
オーストラリアのファッションブランド「White Fox」は、インフルエンサー向けのラグジュアリーヴィラを提供し、ブランドの世界観を体験させることでSNS上での話題を集めた。
また、ケンダル・ジェンナーが手がける「818 Tequila」は、招待制の「818 Outpost」を設け、セレブリティやインフルエンサーとの交流を通じてブランドの認知度を高めた。

体験型マーケティングの展開
美容ブランド「Sol de Janeiro」は、香りと触感を組み合わせた「Casa Cheirosa」という体験型インスタレーションを展開し、来場者にブランドの世界観を五感で感じさせた。さらに、PinterestやNeutrogena、Coca-Colaなどのブランドも、フォトジェニックなブースやインタラクティブな体験を通じて、来場者とのエンゲージメントを図った。

デジタルとの融合とグローバルな影響力
Coachella 2025では、YouTubeとの提携により、複数のステージのライブストリーミングが行われ、世界中のファンがリアルタイムでフェスティバルを体験できるようになった。 ブランドビジョン
また、人気ゲーム「Fortnite」とのコラボレーションにより、ゲーム内でのバーチャルイベントやCoachella限定アイテムの展開が行われ、若年層へのアプローチを強化した。

Red Bull Mirage:砂漠に現れた3階建ての「幻想」

Red Bullは今年、初の大規模ブランド施設「Red Bull Mirage」を披露した。会場内にそびえる三層構造のパビリオンは、単なるドリンク提供ブースを超えた“社交と芸術の装置”であった。
1階では誰でも立ち寄れるカクテルバーを設置し、Red Bull Summer Editionの新フレーバー「White Peach」をいち早く体験可能に。2階はアーティストや招待客専用ラウンジ。世界的シェフ・松久信幸(NOBU)による寿司の提供もあり、グルメ体験が融合。3階はVIP専用ルーフトップ。Quasarステージを一望でき、夜にはAnderson .PaakによるサプライズDJセットも行われた。
Justin & Hailey Bieber夫妻がここで開催した非公開パーティーには、Leonardo DiCaprio、Tobey Maguire、Kendall Jennerらが集結し、SNSでも爆発的な話題をさらった。ブランドとしてのRed Bullは、文字通り“翼を授ける”体験型マーケティングの代表格として強く印象づけた。

Coca-Cola:生成AIと感情データを活用した“Refresh Your Mood”

Coca-Colaは「Refresh Your Mood」をテーマに、AIによる感情解析と連動したドリンク提供体験を展開。来場者の顔認識データから「今の気分に合ったCokeを提案」する自販機型インスタレーションを設置した。
加えて、AI生成による“感情別Cokeラベル”のプリント体験も提供され、来場者が「Hyped」「Chill」「Romantic」など気分に合わせたオリジナルボトルを持ち帰ることができた。
このようにCoca-Colaは、パーソナライズド体験×AI技術をフェスというリアルな場で実装することで、ブランドの革新性とエモーショナルな訴求の両立を図った。

ファッションとセルフブランディングの競演

Coachellaでは毎年、インフルエンサーやセレブによる「ファッション・マーケティングの実験場」的側面が強調される。2025年も以下のようなコラボが印象的であった

  • ENHYPEN × Prada:韓国の人気グループが、Pradaとコラボし西部劇風のカスタム衣装を制作。デニムとビーズを組み合わせた独自スタイルでTikTokでも拡散。
  • Tyla × Pandora:南アフリカ出身のアーティストTylaは、Pandoraとのコラボアクセサリーを着用してステージに登場。パフォーマンス後にはカスタムジュエリー作成体験を提供し、ファンとの距離を縮めた。
  • Hailey Bieber × rhode × 818 Tequila:自身のスキンケアブランドrhodeと、Kendall Jennerの818 Tequilaが連動し、「リップグロス × テキーラショット」というユニークな体験ブースを設置。写真映えするフォトブースと共に、SNS上でのシェアが狙い通り拡散した。

ブランドを五感で記憶させる:Sol de JaneiroとTakisの事例

  • Sol de Janeiroは、「Casa Cheirosa(香りの家)」と題したインスタレーションを展開。ブランドの代表的な香り「Brazilian Crush」を空間全体に拡散し、来場者がビーチリゾート気分で製品を体験できるよう設計された。
  • 一方、スパイシースナック「Takis」は、グラフィティ体験やゲームブースと組み合わせて、若年層への刺激的なブランディングを実施。来場者は、アニメ風のコスプレやスナックとのマッチング体験を通して、Takisを“体験する”形で記憶することになった。

Pinterest Manifest Station:リアルとデジタルの循環

Pinterestは、同社が保有する検索・トレンドデータを基にしたスタイル提案を実施。来場者は「自分のムードボード」を元に、スタイリストと一緒にファッションを完成させる「Manifest Station」を体験できた。
さらに、その場で撮影されたビジュアルは自動でPinterestボードにアップロードされ、イベント体験をデジタル上で再拡張する設計となっていた。

これらの事例は、Coachellaが単なる音楽フェスティバルを超え、ブランドが創造性と体験価値を競い合う場となっていることを示している。 今後も、音楽、ファッション、テクノロジーが融合するこのフェスティバルは、ブランドにとって重要なマーケティングの舞台であり続けるだろう。(出典;MSN、GQ、People、InStyle、Coca-Cola他)

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