CN:中国の需要低迷がラグジュアリーセクターの苦境に
中国の需要低迷がラグジュアリー業界に影響を与えているなか、フランスの高級ブランド、エルメスが2023年同期比で売上高を14%増加させ、業界全体の落ち込みを部分的に相殺した。
中国経済の影響
中国経済の低迷は、通常は富裕層の購買力に依存する大企業にも影響を与えている。特に2019年以降の度重なる値上げ(ディオールの同価格帯商品の値上げは60%を超える)により、価格調整は限界に達しつつあると見られている。ラグジュアリーブランドにとって、持続的な成長を維持するのは難しい。あるラグジュリー投資家は「独占性の低下を抑えながら、多様な顧客層に対して魅力的なストーリーや伝統、製品を提供することが求められている」と指摘している。
エルメスの成長と成功の要因
エルメスは2023年第3四半期において、アジアを含む全地域でプラス成長を遂げた。日本市場では23%の成長を記録しており、プレスリリースによればこれは「地元顧客の忠誠心」によるものとされる。特に皮革製品(17%増)や家庭用品・宝飾品部門(17%増)が好調であり、時計部門のみが6%の減少となった。フィナンシャル・タイムズは、エルメスの成功の理由として、同社が最も人気のあるハンドバッグに長い待機リストを設け、富裕層の高級消費者に的を絞っていることを挙げている。
ケリングの苦戦と業績警告
一方、グッチを所有するケリングは第3四半期において15%の売上減少を報告し、今回で3回目の利益警告を発表した。同社によると、売上は特にアジア太平洋地域と日本市場で弱含んでいるという。グッチに至っては、売上が26%減少し、卸売売上も38%の減少を記録した。一部のアナリストは、グッチが軟化する中国市場に過度に依存していると指摘している。ケリングはグッチの売上回復を図るため、多数のレザーグッズの新製品を導入しており、カテゴリーの見直しは「順調に進行中」であると報告している。ケリング会長兼CEOのフランソワ・アンリ・ピノー氏は「市場環境が厳しい今、特にグッチを含むグループ全体の変革を、規律と決意をもって進めている」と述べた。(出典:シーキング・アルファ、ケリング、フィナンシャル・タイムズ)