ジャーナリズムとニュース衰退の話はもはや時流に合わない
ジャーナリズムの現状に関する新しい報告書によれば、ニュース業界の衰退や「ニュース疲れ」が叫ばれている現状は、必ずしも正確ではなく、見直しが必要であることが示されている。この報告書は、米国の非営利団体「The Poynter Institute」によって作成されたもので、ニュースや情報に対する人々の欲求が依然として高いことを指摘している。
ジャーナリズムとニュース産業の重要性
広告収入や読者数の減少が問題視される一方で、Poynter Instituteは、説得力のあるストーリーテリングに対する需要が依然として高く、一部の人々はそのためにお金を払う意欲があると報告している。さらに、ローカルニュースの信頼性や、Substack、Patreon、TikTokといった新しいプラットフォームを通じて、コンテンツクリエイターの活動が拡大している点も注目される。視聴者の細分化が進んだ結果、報告書は「幅広い層を対象にするよりも、小規模で忠実な視聴者に焦点を当てる方が効果的だ」と主張している。
重要なポイント
より質の高いコンテンツと動画
- 読者の60%は、複雑なストーリーのより良い説明を求めており、44%は解決策を重視したジャーナリズムを求めている。また、43%は感動的なヒューマンストーリーを望んでいる。
- 56カ国の314の出版社の中で、記事数を増やす予定の出版社は存在しない。
- 有料ニュースレターが人気を集めており、フィナンシャル・タイムズは、フルプライスの購読料を支払わない読者のために実験的に有料ニュースレターを発行している。
AIの活用とコンテンツクリエイターの重要性
- 報告書は、報道機関が競争力を維持し、視聴者にアプローチするためには、AIツールや戦略の採用が不可欠であると警告している。
- TikTokでは、57%のユーザーがニュースをインフルエンサーから得ており、ジャーナリストから得ているのは34%に過ぎない。
フィランソロピーがローカルニュースを支える
- ローカルニュースの信頼性と価値が高まっており、特に米国では、ローカルニュース支援のための寄付が増加している。2015年には5,000万ドルだった慈善寄付が、2023年には1億8,000万ドルに達している。ただし、これは万能の解決策ではなく、ビジネスモデルの多様化も求められている。
Poynter Instituteは、ジャーナリズムの価値向上や倫理的実践を推進する世界的な非営利団体であり、フロリダに拠点を置いている。また、タンパベイ・タイムズ紙や国際ファクトチェック・ネットワークを所有し、ポリティファクトも運営している。(WARC, Poynter Institute)