Airbnbの成長鈍化とExperienceの復活
Airbnbの2024年第2四半期の成長鈍化は、株式市場の急落が原因ではない。規模を拡大しながらの急成長は困難である。
2023年第2四半期では、Airbnbは18%の収益成長を記録し、予約総額は13%増加、宿泊と体験は11%増加した。今年第2四半期の決算では、いくつかの主要分野で減速が見られ、第3四半期も同様の傾向が予測される。
- 第3四半期の見通しでは、前年同期比で宿泊数と予約数は緩やかに増加すると予測されている。これは第2四半期の9%増に対するものだ。
- ラテンアメリカとアジア太平洋地域はAirbnbの「最も急成長している地域」であるが、ゲストが短いリードタイムで予約を行い、米国のゲストからの需要が鈍化している兆候が見られる。
- パンデミック中とその前後では長期滞在の伸びが顕著だったが、現在は短期滞在と家全体の伸びがそれぞれ長期滞在とAirbnbの客室を上回っている。
- 第3四半期の調整後EBITDAは第2四半期とほぼ同等になる見込みで、調整後EBITDAマージンは前年同期より低下する見通しだ。新市場への投資により、マーケティング費用が今年後半に増加すると報告されている。
- 2024年第2四半期の調整後EBITDAは前年同期の15%増に対し9%増となった。
- 2023年第2四半期の純利益は71%増の6億5,000万ドルだったが、2024年第2四半期の純利益は14%減の5億5,500万ドルとなった。この落ち込みは法人税の増加が原因とされている。
それでも第2四半期には多くのプラス要因があった。4月以降、品質上の問題から20万件のリスティングが削除されたにもかかわらず、アクティブなリスティング数は前年同期の700万件以上から800万件に急増した。また、パリ・オリンピック期間中の予約宿泊数は前年同期の2倍以上となった。
Airbnbの株主書簡には、「特別なイベント時に都市に流入する観光客の増加に対応し、多様で手頃な宿泊オプションを提供することで、都市全体の経済成長を支える」と書かれている。
さらに、今年発表した”Airbnb Icons”の展開がブランドの位置づけを向上させ、中核のホームシェアリング事業以外の拡大にも寄与している。アイコンは音楽、映画、アート、スポーツなどの分野で著名人が主催する特別な体験を提供するもので、約4000万ビューと8億5000万以上のソーシャルメディア・インプレッションを集めている。
共同設立者兼CEOのブライアン・チェスキーは以下のように述べる。「アイコンは、これまで想像の中にしか存在しなかった世界の中を案内します。生活がますますデジタル化する中、私たちは現実世界にさらなる魔法をもたらすことに注力しています。 アイコンによって、私たちは地球上で最も特別な体験を創造しました」。
アイコンは5月の導入以来、約4000万ビューと8億5000万以上のソーシャルメディア・インプレッションを集めていると同社は述べた。さらにAirbnbのCEOは、 長らく停止していた”Experience”(世界各地での体験プログラム提供プラットフォーム)を2025年に再開すると述べた。(出典:Skift, Airbnbリリース他)