中国の人口は減り続けているー求められる市場変化への適応

中国では政府による出産奨励策が講じられているにもかかわらず、出生率の低下に歯止めがかかっていない。結果として、同国の総人口は4年連続で減少しており、人口動態は明確な転換点を迎えている。

国家統計局の発表によれば、2025年に生まれた新生児は792万人にとどまり、過去10年間で出生数はほぼ半分に縮小した。総人口についても減少傾向が続いており、2025年の人口は14億49万人と、前年から339万人減少している。前年の総人口は14億83万人であった。

出生数の先行指標とされる婚姻件数にも大きな変動が見られる。2024年には前年比で約20%減少したものの、その後は持ち直しの兆しを見せ、2025年1〜9月期には前年同期比で8.5%増加したと報じられている。

出産支援策と家計負担のギャップ

中国政府は少子化対策として、子育て世帯への経済支援を強化している。その一環として、3歳未満の子ども1人につき年間3,600元(約500米ドル)を支給する全国的な保育補助金制度が導入された。現在は最大3人までの子どもを持つことが制度上認められている。

しかし、この補助額は実際の子育てコストと比べると限定的である。中国において18歳まで子どもを育てる平均費用は約53万8,000元(約7万5,000米ドル)とされており、上海や北京といった大都市では、その負担額はほぼ倍に達するという調査結果もある。

さらに、出産・育児世代の多くは、高齢化した親の介護も同時に担っており、住宅費や医療費と相まって、家庭形成に必要な資金を確保しにくい状況に置かれている。

こうした中、民間企業の一部では独自の家族支援策も始まっている。たとえばTcomでは、妊娠中の従業員に対して通勤用の無料タクシーを提供するほか、子どもの教育費を補う目的で、新米の親に対する定期的な給付金制度を設けている。

人口構造の変化がもたらす経済・市場への影響

現在、中国の人口の約4分の1は60歳以上が占めており、労働年齢人口は今後も縮小が見込まれている。この人口構造の変化は、すでに減速傾向にある経済成長に影響を及ぼしているだけでなく、雇用不安や住宅問題と相まって、消費者信頼感の低迷をさらに深刻化させている。

依然として14億人規模の人口を抱える中国は、世界有数の巨大市場であることに変わりはない。しかし、グローバルブランドにとっては、年齢構成の変化が自社のターゲット層にどのような影響を与えるのかを正確に把握し、新たな世代に適切にアプローチする戦略が不可欠となっている。

特にZ世代に属する若い親たちは、育児用品やサービスに対して高い倫理性と透明性を求める傾向が強い。政府の家族向け補助金制度を安易なマーケティングに利用しようとする企業に対しては、早い段階から批判の声が上がるなど、消費者の監視は一層厳しくなっている。(出典:サウスチャイナ・モーニング・ポスト、CNN、フォーチュン、CNBC、画像: Getty)

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