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Soraは「現実のない」新種のソーシャル─OpenAIがAI生成中心の交流を提案

OpenAIは、生成AI動画モデルの名を冠したiOSアプリ「Sora」を公開し、ソーシャル領域に参入した。アプリは最新の「Sora 2」を搭載し、ユーザーは動画の生成や他者作品のリミックスに加え、「Cameos(カメオ)」機能で自身や友人をシーンに登場させることができる。InstagramやTikTokで“本物とAI”の見分けが難しくなっている中、OpenAIは「いっそすべてをAIに振り切る」設計で、コミュニティ感の再構築を狙うとしている。

フィードの仕組みと推奨ロジック

Soraは従来型SNSと同様にフィードを備え、フォロー関係やユーザーの関与に基づく投稿が優先表示される。初期設定では「フォロー・交流の強い相手」を重視し、かつモデルが創作の着想源として最も有用と判断する動画を優先するとされる。

Cameos:本人確認からの“自分出演”

Cameosの利用時は、アプリ内で一度だけ短い動画と音声を録音して本人確認を行い、顔のテンプレートを作成する。これにより、自分や友人の“似姿”をSora内の生成シーンに登場させることが可能になる。OpenAIによれば、社内テストでは「人とコミュニケーションする新しく独特な方法」として好意的に受け止められ、社内リリースから1週間で「新しい友人ができた」という声もあったという。

ディープフェイク時代の新SNSという挑発

Soraは、バーチャルでつながっただけの相手を主人公にした“フェイク動画”を前提とするようにも見えるため、詐欺やデマ拡散などディープフェイクの悪用懸念が高まる中で挑発的な試みと言える。OpenAIのデータ利用やプライバシーの扱いについて疑問を抱くユーザーも出ることが予想される。

ガバナンスとウェルビーイング対策

OpenAIは、ユーザーが自身の肖像の使用範囲を制御でき、肖像を含む生成動画へのアクセスを取り消したり削除したりできると強調する。また、「ドゥームスクロール(無目的な長時間視聴)、依存、孤立、現実生活(RL)最適化フィード」への懸念を最重要事項とし、表示内容の詳細なカスタマイズ機能を提供するという。
さらに、ユーザーのウェルビーイングを定期的に調査する仕組みを設け、「滞在時間の最適化」は行わず、消費より創作を優先する設計方針を示している。ビジネスモデルとしては、需要が集中する時間帯の生成に課金する計画も明らかにした。

ティーン保護とペアレンタルコントロール

未成年向けの保護策として、10代のユーザーが1日に閲覧できる生成数にはデフォルトで上限を設け、18歳未満に対するCameosの許可は厳格化する。年齢確認が自己申告にとどまるかは不明だが、ChatGPTを介したペアレンタルコントロールも提供される。

既存SNSへの影響:差別化か追随か

InstagramやTikTokがこの新競合にどう対応するかは注目点だ。既存プラットフォームにとっては、“実写オリジナル”や“AI素材の明確なフラグ付け”を強める差別化の好機とも言える。一方、メタなどが類似機能を早期に模倣する可能性もあり、その場合は各プラットフォームにディープフェイク・ツールが拡散し、全体として“AI化の加速”とともに負の連鎖を招くリスクもある。

クリエイターとブランドへの示唆

ブランディングに関わるクリエイターは、この動向を注視すべきである。Soraが普及し、ブランドが同アプリをソーシャル戦略に取り込む場合、“現実味のない空間”をどうナビゲートするかの設計が要る。AIトレンドに独自の解釈を加えて関与を高めるチャンスがある反面、AIに対する拒否感や、ブランド資産がコントロール不能になる危険性も大きい。

SoraのiOSアプリはAppleのApp Storeで入手可能(招待制)。招待を受けたユーザーはsora.comからSora 2にアクセスでき、ChatGPT Proユーザーは「Sora 2 Pro」も利用可能となる。   (出典:CREATIVE BROQ)

 

 

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