
モットー・バイ・ヒルトン、ソーシャルシリーズで旅行者に「主人公のエネルギー」を与える
ゲーム的演出を取り入れた新シリーズ
ヒルトンのライフスタイルブランド「モットー・バイ・ヒルトン」は、アドベンチャーゲームに着想を得たソーシャルコンテンツシリーズ「ゲストクエスト」を展開している。没入感ある一人称視点で撮影された映像では、ゲストがミッションを与えられ、インフルエンサーと出会いながら日常のタスクから解放されていく様子が描かれる。InstagramやTikTokを中心に配信され、出演者にはハンナ・バーナー、コナー・ウッド、コーデル・ベッカムといった人気クリエイターが名を連ねる。
若い世代への訴求強化
この試みは、Z世代やミレニアル世代、いわゆる「ジレニアル」層をターゲットとし、モットー・バイ・ヒルトンの中核施設をより魅力的に見せる狙いがある。従来の広告媒体を避けがちな若年層は、Airbnbなどのバケーションレンタルに親和性を持つ傾向が強い。そのため、ヒルトンはソーシャルメディアとインフルエンサーファーストの戦略に舵を切り、この層にブランド体験を届けようとしている。
コンテンツの構成と演出
映像は、宿泊者の視点をベースにナレーションでタスクが提示され、ジェームズ・ボンドや『ミッション:インポッシブル』を想起させるような設定で展開される。ゲストが課題をこなす途中でインフルエンサーと遭遇し、屋上バーや隠れたサウンドバスルームといったモットー・バイ・ヒルトンならではの空間を体験する。画面上には「Xを押す」などの指示やキャラクタースプライト、エネルギーレベルゲージといったゲーム的な演出も加えられている。
クリエイターと都市体験
シリーズには、フィラデルフィアで活躍するコメディアンのコナー・ウッド、ニューヨーク・チェルシーを舞台に登場するポッドキャスト司会者ハンナ・バーナー、さらにロッテルダムでは「ラブ・アイランドUSA」で知られるコーデル・ベッカムが出演する。ヒルトンは、この企画を通じて主要都市中心部に位置するコンパクトで快適な客室の魅力を発信し、ブランド認知度を高める戦略を取っている。
旅行と物語をつなぐ意図
制作を担当したのは、ソーシャルファーストのマーケティングに強みを持つエージェンシー「Movers+Shakers」である。同社の共同創業者でチーフ・クリエイティブ・オフィサーであるジェフリー・ゴールドバーグは、「私たちの目標は旅行コンテンツと文化的ストーリーテリングの境界を曖昧にすることにある。TikTok的な言語感覚を取り入れ、遊び心と参加型の体験を創出することで、単なるホテル宣伝ではなく、旅行者が自らの物語を共有したくなるきっかけを作り出している」と語る。
ライフスタイルブランドの拡充
ヒルトンは現在、モットーをはじめ「テンポ」や「キャノピー・バイ・ヒルトン」といった現代的ライフスタイルホテルブランドの開発を加速させている。今回のソーシャルシリーズは、その一環として位置づけられ、今後のブランド戦略を象徴する取り組みといえる。(出典:MARKETING DIVE、画像:Motto by Hilton)