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西武プリンス、エースホテルを9000万ドルで買収へ

西武プリンスホテルズ・ワールドワイド(SPW)は、エースホテルの親会社であるエースグループを約9,000万ドルで買収することで合意した。この取引はブルームバーグによって最初に報じられ、財務アドバイザーを務めたJLLも確認している。買収は9月30日に完了予定で、エースブランドおよび社内クリエイティブエージェンシー「アトリエ・エース」も対象に含まれる。

エースホテルの独立性を尊重

今回の合意により、エースホテルはSPWの傘下で運営されることになるが、ブランドやクリエイティブの方向性に関しては独立性を保つとされている。エースホテルは1999年にシアトルで設立され、現在はシアトル、ニューヨーク、ブルックリン、パームスプリングス、アテネ、京都、トロント、シドニーの8拠点を展開している。公式サイトでは、福岡での新規開業も「近日オープン予定」と告知されている。

西武プリンスホテルは日本国内を中心に多くのブランドを展開しており、米国では「ザ・プリンス北野ニューヨーク」など4つのホテルを運営している。グループは2035年までに世界で250軒のホテル展開を目標に掲げており、今回の買収によってSPWとエースを合わせた運営ホテル数は94軒、さらに7軒が準備中となる。

SPWの金田喜樹社長兼CEOは、「西武プリンスはアジア太平洋と中東における強みを持ち、エースは北米と欧州で深い信頼を築いている。両者の強みを融合することで、より迅速で効果的な事業拡大が可能になる」と述べている。

エースホテルの背景と変遷

エースホテルは“アンチ・ブランド”として登場し、暗めの照明のロビーでノートPCを広げる若者やクリエイティブ層が集まる空間を特徴としてきた。創業者アレックス・カルダーウッドは2013年に他界したが、その独自のスタイルはブランドに強い影響を残した。

拡大の一方で、ロサンゼルス、ニューオーリンズ、ピッツバーグ、シカゴの拠点は他ブランドへ移行するなど縮小もあった。2023年にはSortis Holdingsによる8,500万ドルでの買収計画が進められたが、成立には至らなかった。今回のSPWによる買収は、エースに資本的な安定とグローバル展開の後押しを与えることになる。

経営陣のコメント

エースホテルのブラッド・ウィルソン会長は、「SPWの一員となることを光栄に思う。私たちは歴史的建造物の再生や地域社会への貢献を続けながらブランドを成長させてきた。西武プリンスはその価値観を共有しており、国際的な戦略とリーチによってエースの精神を守りつつ新たな高みに導いてくれる」と語った。クリス・ペンCEOも「エースは体験型ホスピタリティのリーダーとして、文化や市場を超えて共鳴するデスティネーションを創造してきた」と強調している。

最近は小規模ライフスタイルホテルグループの統合が相次いでいる。2023年にはハイアットがスタンダード・インターナショナルを、ヒルトンがノーマッド・ホテルズを買収。さらに過去には、アコーによる21Cミュージアムホテルズの買収や、エニスモアによる複数ブランド統合も注目された。今回の買収により、エースもまた世界的なホテル統合の流れに加わった形である。

なお、エースホテルはSPWの会員プログラム「西武プリンスグローバルリワード」に統合され、顧客はより幅広いサービスを利用できるようになる見通しである。(出典:西武プリンス、HOTEL Magazine)

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