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農水省、民間ノウハウと自治体をつなぐ農村再興事業を開始へ

農林水産省は今秋、農業活性化に取り組む地方自治体と、民間企業が持つ先進的なノウハウを結びつける新たな事業を開始する。単発アルバイト仲介のタイミーや、人工衛星による農地分析に強みを持つサグリ(兵庫県丹波市)など11社が参画し、生産性向上や販路開拓を目指す。農村再興のモデルを構築し、全国への展開を狙う。

農水省は9月まで自治体からの参加希望を募り、約30自治体を選定して事業を開始する予定である。参加企業には、パソナ農援隊(農業人材育成、東京・港区)、ボーダレス・ジャパン(社会起業家支援、福岡市)、NTTスマートコネクト(電子商取引・データ分析、大阪市)、楽天グループなどが名を連ねる。

プロジェクトの経緯

本事業は、農業現場の深刻な担い手不足、販路縮小、資材高騰や気候変動など複合的な課題に対応するために企画された。これまでも民間企業と自治体が個別に連携する事例はあったが、企業側は地域の実情や課題に関する情報が不足し、自治体側は適切な民間パートナーを探すネットワークを持たない場合が多かった。このため、十分なマッチングが行われず、双方の強みを活かしきれない状況が続いていた。

農水省はこの「情報とネットワークの断絶」を解消し、戦略的に橋渡しを行う役割を担うこととした。昨年から「農山漁村」経済・生活環境創生プラットフォームを構築し、地域課題に取り組む企業、NPO、団体などとの共創を図ろうとしている。

解決を目指す課題

農業を巡る現場では、人材確保や販路拡大といった従来の課題に加え、資機材価格の上昇や気候変動対応といった新たな問題が浮上している。担い手の確保、肥料や農薬の効率的使用、地元産食材を活かした特産品開発などの場面で、民間の技術や知見が活きると想定される。

自治体は先進的な手法を導入したい一方で、企業側は地域課題に関する情報が限られており、具体的なサービス提案に至らないケースがあった。農水省が仲介役となり、両者をつなぐことで、双方の収益拡大を支援する。既存の助成金における優先採択も検討しており、2025年度末には取り組みの手引きをまとめる方針だ。

少子高齢化の進行により、農山村では共同体維持が難しい地域が増加している。農水省によれば、山間地域で農業集落が9戸以下となる割合は2020年に19.9%と、2000年の8.8%から増加しており、生産基盤の脆弱化が進んでいる。

自治体にとっては、農業振興をきっかけに関係人口の増加が期待でき、企業にとっては新たな収益機会の創出や、現場課題の解決を通じた若手人材育成につながる。さらに、社会課題に取り組む姿勢を示すことで、投資家や消費者からの支持獲得も見込める。(出典:農水省・日本経済新聞他)

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