
Meta、第2四半期決算で好調な成長を報告─ザッカーバーグCEO、「超知能」のビジョンを強調
Meta Platformsが発表した2025年第2四半期決算によれば、売上高は前年同期比で22%増の475億2,000万ドルに達し、ウォール街の予想を上回る結果となった。マーク・ザッカーバーグCEOは、決算説明会において、広告事業の堅調な成長を生成AI技術による効率化の成果であると位置づけ、特にeコマース領域が広告収益への最大の貢献要因であると強調した。
主要数値から読み解く業績
Metaは第2四半期において、売上高が前年同期比22%増の475億2,000万ドルに達した。広告インプレッション数も前年同期比で11%増加しており、これは第1四半期の5%増と比較しても成長が加速していることを示している。さらに、2025年6月時点における「デイリー・アクティブ・ピープル(DAP)」は、平均で34億8,000万人に達し、前年同期比で6%の増加を記録した。
Metaによれば、InstagramおよびFacebook上での広告コンバージョン率はそれぞれ約5%、3%の向上が見られ、これにはAIを活用した広告配信の最適化やレコメンデーション機能の改善が大きく貢献している。加えて、両プラットフォームにおける滞在時間の増加も、ユーザーエンゲージメントの向上を示す明確な指標となっている。
広告主のニーズと市場の反応
eMarketerのシニアアナリストであるミンダ・スマイリー氏は、Metaの好業績について「経済の不確実性を乗り越えたことの証左であり、低コストかつ高パフォーマンスな広告ソリューションを求めるマーケティング担当者のニーズに応えた結果である」と分析している。さらに、「この結果は、関税などの影響によってデジタル広告市場全体が深刻な打撃を受けていない可能性を示唆しており、Metaのように巨大なユーザーベースと洗練された広告プラットフォームを有する企業が、今後の市場変動に対しても小規模なプラットフォームより優位に立つ可能性が高い」との見解を示している。
生成AIツールの採用と広告収益の関係
Metaの提供する生成AIを用いた広告クリエイティブツールの採用は、急速に拡大している。現在では約200万社の広告主が「イメージ・アニメーション」や「ビデオ・エクスパンション」といった動画生成機能を活用しており、テキスト生成ツールもまた広告制作の効率化とパフォーマンス向上に貢献している。こうした技術の導入は、Metaの広告収益全体を押し上げる主要因となっている。
一方で、AI技術への積極的な投資はコストの増加も招いており、Metaは2025年度の年間支出について、1,140億ドルから1,180億ドルの範囲になると予測している。これは前年比で20~24%の増加となり、主にAIインフラへの投資がその原動力とされている。
ザッカーバーグ氏が示す「超知能」への道筋
こうしたコスト増にもかかわらず、MetaはAI分野への注力を一層強めている。ザッカーバーグCEOは、決算説明会および自身のソーシャルメディア上での発信において、Metaが描く次世代技術のビジョンについて明確に語った。それによれば、Metaの目指すべき方向性は「すべての人に個人的な超知能(superintelligence)を提供すること」であり、それによって人々が自らの人生で最も重要なことに集中できるような社会の実現を目指しているという。
Metaは、AI技術によって人間の知能を超える超知能の実現が近い将来に訪れると見込んでおり、その実装に向けて広告、プロダクト、インフラ全体の再設計を進めている。この構想は単なる短期的な事業拡大にとどまらず、テクノロジーを通じて人々の生活基盤そのものを再定義するという長期的なビジョンに根ざしている。
AI戦略が示すMetaの変革と未来への布石
Metaは、生成AIの応用によって広告の効果と効率を飛躍的に向上させると同時に、「超知能」実現に向けた変革を本格化させている。2025年第2四半期の決算は、その歩みが確実に進んでいることを示すと同時に、Metaが単なるSNS企業ではなく、次世代のAIプラットフォーマーとしての地位を確立しようとしていることを強く印象づけた。
今後、同社がどのようにして超知能の社会実装を進めるのか、そしてその技術が人々の生活やビジネスにどのような影響を与えていくのかが注目される。Metaの動向は、AI時代の到来を象徴する重要な指標として位置づけられるだろう。(出典:MARKETING DIVE)