CN:SK-II、中国における消費者心理の変化で成長回復
美容ブランドSK-IIは、日本ブランドに対する否定的な感情の緩和と独自のブランド戦略による取り組みを背景に、中華圏での成長回復を遂げている。
成長の要因と背景
プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の決算説明会によると、11月に開催されたシングルス・デイでの力強い売上増加や、旅行小売業での緩やかな成長が寄与し、第2四半期におけるSK-IIの売上は前年同期比5%増加した。この成長は、同じ期間でP&G全体の売上が3%減少した中での成果であり、特に第1四半期の15%減から大幅な改善が見られた。
一方で、2023年には中国におけるSK-IIの売上が34%減少している。この要因として、放射能汚染に関する報道による日本ブランドへの消費者の不安が挙げられる。しかし現在では、消費の回復が出荷量を上回る状況に転じている。
ブランド戦略と製品構成の変化
SK-IIのCFOであるアンドレ・シュルテン氏は、「日本ブランド全体に対する消費者の感情が緩和されている」と指摘するとともに、SK-IIがプレミアムスキンケア市場で急成長を遂げた要因として、ブランド構築に対する「多大な投資」を挙げている。同ブランドはメディアへの露出を積極的に拡大し、製品の利点と有効性を強調してきた。
製品ラインも消費者の嗜好に合わせて変化しており、従来の肌調整効果からアンチエイジングや多機能製品へと注力している。さらに、百貨店での存在感を高めるために、カウンターやスタッフの質を向上させる取り組みも行っている。
SK-IIの成長は、中国の富裕層消費者がプレミアム価格帯の商品に対する購買意欲を取り戻しつつあることを示している。一方、P&GのCEOであるジョン・モーラー氏は、「社会全体では依然として消費者の信頼が低く、多くが苦戦している」と述べている。(出典:Seeking Alpha, WARC)