
トレンドマイクロ、AI時代に対応する新ブランド「TrendLife」へ転換
トレンドマイクロは、人工知能(AI)の普及によって変化する消費者のデジタル環境とリスク構造を踏まえ、コンシューマー事業を今後「TrendLife」ブランドのもとで展開していく方針を明らかにした。
近年、サイバーセキュリティを取り巻く状況は急速に複雑化している。フィッシングやランサムウェア、なりすまし詐欺といった従来型の脅威に加え、AIを活用した金融詐欺の被害も拡大しており、2025年には世界全体で4,420億ドル規模に達するとの予測もある。AIの浸透は利便性を高める一方で、個人情報の取り扱いやデータ悪用への不安を増幅させているのが実態である。
同社が9カ国・1万人以上を対象に実施した調査では、回答者の76%がAIツールに提供した個人情報の悪用リスクに対して、中程度以上の強い懸念を抱いていることが明らかとなった。こうした状況を背景に、TrendLifeは消費者のデジタルライフを包括的に支える新たな枠組みとして位置づけられている。

TrendLifeの具体的な取り組みとして、同社は家族向けAIコンパニオン「Kaleida」を発表した。これは家族を一つの単位として捉え、AIに関連するリスクから保護するだけでなく、子どもの学習支援や日常のスケジュール管理といった生活面のサポートも担うサービスである。
また、従来から推進してきた「Internet Safety for All」という教育プログラムも継続し、家庭単位でのデジタルリテラシー向上を図る構えである。単なるセキュリティ対策にとどまらず、AI時代における生活基盤としての機能を強化している点が特徴である。
同社CEOのエヴァ・チェンは、AIが家庭の暮らしや学習、コミュニケーションの在り方そのものを変えつつあると指摘する。そのうえで、単に脅威から防御するだけでなく、各家庭が自らのデータやプライバシーを主体的に管理できる仕組みの重要性を強調している。TrendLifeは、AIの恩恵を享受しながらも主導権を手放さないための基盤として設計されている。

テクノロジー企業と家庭の関係性の再定義
TrendLifeのチーフ・コンシューマー・ビジネス・オフィサーであるフランク・クオは、この取り組みを単なるサービス拡張ではなく、テクノロジー企業と家庭との関係性そのものを再構築する試みであると位置づける。
同社はこれまでも、家庭がオンライン上のリスクに対処できるよう支援してきたが、Kaleidaはその進化形である。特に注目すべきは、AIの普及によって新たに生まれた課題に対応している点である。家族全体で情報を共有し、共通の価値観に基づいてAIが機能する仕組みは、従来には存在しなかったアプローチである。
このような設計思想は、責任あるAIガバナンスの一形態とも言える。個人単位ではなく家族単位での意思決定と管理を可能にすることで、より実態に即したデジタル保護を実現しようとしているのである。(出典:branding im asia、画像:トレンドマイクロ)
















