
ニューカッスル、レッドブルのリブランドで新たな活力を得る
かつて「ファルコンズ」と呼ばれたクラブは、今やレッドブル傘下で新しい時代を迎えつつある。冗談交じりに「ファルコンズと言ったら罰金」とさえ言われるほど、その変化は徹底している。北東部に広がる期待感は、単なる一過性の熱狂ではなく、クラブ再生への確かな兆しと受け止められている。
苦難の歴史からの脱却
ニューカッスルは近年、リーグ最下位に沈み、2023-24シーズンには18戦全敗という屈辱を味わった。限られた予算と人材流出に悩まされてきたが、レッドブルの参入によって状況は一変した。1998年にサー・ジョン・ホールの下でプレミアシップを制した頃を思わせるような、大胆な投資が可能になったのである。
指揮を執るスティーブ・ダイヤモンドは、この夏に補強の自由を得た。ワールドクラスの即戦力を揃えることはできなかったが、リアム・ウィリアムズやアマナキ・マフィといった経験豊富な選手を迎え、ジョージ・マクギガンを主将に据えた新チームを編成。サラセンズ戦では2018年以来の満員の観客を呼び込み、クラブへの関心と信頼を取り戻した。
レッドブルの関与は、単なる選手補強以上に「安定」をクラブにもたらしている。かつて将来への不安を抱えていた選手やスタッフは、今では安心して競技や仕事に専念できる。ダイヤモンドは「最も大きな変化は信念だ」と語り、不安定な時代が終わったことを強調している。
レッドブルが選んだ理由
なぜ成績不振のニューカッスルが選ばれたのか。それは、買収コストの妥当性に加え、成長余地の大きさにある。スポーツ熱の高い街ニューカッスルでは、既にシーズンチケット販売数が過去20年を上回っている。さらに、プレミアリーグの経営陣とも強い関係を持つレッドブルにとって、ここは絶好の拠点であった。
レッドブルの参入は他クラブやリーグにとっても歓迎すべき動きと見なされている。エクセターのロブ・バクスターやセールのアレックス・サンダーソンは、大手ブランドによる投資がリーグ全体の成長を後押しすると評価。TNTスポーツのスコット・ヤングも「レッドブルは積極的なパートナーであり、リーグ全体に良い影響を与える」と述べている。
ニューカッスルはまだタイトルを狙える段階ではないが、確実に競争力を取り戻しつつある。そして何より、レッドブルがもたらしたのは「未来への確信」である。この変化はクラブだけでなく、イングランド北部、さらにはプレミア全体を活性化させる引き金となるだろう。(出典:RedBull, The Gardian)