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トヨタの未来都市「ウーブン・シティ」、今秋に初の居住者を迎える準備整う

トヨタ自動車は、富士山麓に建設中の未来型都市「ウーブン・シティ(Woven City)」の第一期工事が完了したと発表した。この秋から、約100人のトヨタ社員とその家族が最初の居住者として入居を開始し、その後は第1段階の定員である約360人まで拡大していく計画である。

実験都市としての役割

ウーブン・シティは、トヨタが自動車メーカーから「モビリティ・カンパニー」へと進化する戦略の象徴的プロジェクトである。トヨタはモビリティを「人・モノ・情報・エネルギーの移動を通じて、個人や社会を向上させる仕組み」と定義し、この街を未来技術の実験場として活用する。

この都市はトヨタとその「WbyT」(Woven by Toyota)サブブランドによる非常に高価なプロジェクトであり、自律走行車技術やより広範なモビリティ・ソリューションのテストベッドとして機能する民間都市に発明家や業界関係者を集めることを目的としている。

静岡県裾野市の旧工場跡地に建設されているこの都市は、発明家と「織工(Weaver)」と呼ばれる市民で構成される。発明家にはトヨタ社員やスタートアップ、起業家が含まれ、織工には家族や地域住民、観光客が想定されている。現在の提携先には飲料メーカー、食品企業、空調メーカー、教育関連企業なども名を連ねる。

ウーブン・シティは、単なる住宅地や商業地ではなく「生きた実験室」として設計されている。豊田章男会長は「ここは人々が自由に新しいアイデアや製品を試せる場であり、モビリティの拡張を現実社会に近い環境で実証できる都市である」と語る。住民は単なる居住者ではなく、発明者や協力者としてプロジェクトに参画し、AI、自動運転、ロボティクス、スマートエネルギーなど幅広い分野のテストに関わる。

第一期ではトヨタとWoven by Toyota(WbyT)のスタッフとその家族が入居し、将来的にはパートナー企業の家族も加わる。トヨタはすでに第2期工事に着手しており、2026年以降には一般来訪者の受け入れを始め、最終的に居住者と関係者を合わせて約2000人規模に拡大する計画だ。

トヨタの「モビリティカンパニー」への転換

ウーブン・シティの建設は、トヨタが自動車メーカーから「モビリティカンパニー」へと進化する大きな戦略の一環である。同社はモビリティを「人、モノ、情報、エネルギーの移動」と再定義し、その社会的価値を拡張しようとしている。この都市は、自動車の提供にとどまらず、未来の暮らしそのものをデザインする試みであり、交通や物流、エネルギーマネジメントを含む包括的なモビリティ・エコシステムの実証拠点となる。

すでに清涼飲料メーカー、食品企業、空調メーカー、教育関連企業など、多様な業界のパートナーが参画を表明しており、日常生活に密着したサービスや商品がどのように変革できるかをテストする場として活用される予定だ。飲食、住環境、エンターテインメント、教育など、幅広い領域で新しい試みが展開される。

今後は、2026年以降に一般訪問者への公開を段階的に進め、外部の人々も「未来の都市体験」に触れられるようにする方針だ。ただし、都市としての完成には長期的な時間軸と多大な投資が必要であり、社会的な受容性や技術の成熟度との兼ね合いが課題となる。にもかかわらず、ウーブン・シティは世界的にも稀有な「実証都市」であり、トヨタの挑戦は日本発の未来社会モデルとして注目を集めている。(出典:トヨタ自動車、日経新聞、CAR AND DRIVER 他)

 

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