
電通レポート:ゲームは「次世代ソーシャル」へ―ブランドは慎重姿勢を崩さず
電通が発表した最新リポートは、デジタル上での交流様式における大転換を示している。Z世代をはじめとする若年層は、Roblox や Fortnite といったインタラクティブなゲームプラットフォームに集い、Twitch や Discord ではストリーマーが何百万人ものフォロワーを抱えるインフルエンサーへと成長している。結果として、ゲームそのものが本質的に「ソーシャル空間」へと変貌しつつある。
調査では、プレイヤーの約4分の3が「ゲームは他者とのつながりに資する」と回答し、36%が「学び・笑い・帰属意識」を求めてゲームコンテンツを視聴していると判明した。特に Z 世代は、友人との交流目的でゲームを選ぶ傾向が平均のゲーマーより32%高い。半数超が「ゲームは友情を育み、社交性を高める優れた方法である」と同意している。
同リポートは、Z 世代が1日平均2時間半を Roblox に費やし、2024 年には月間 16.2 億件ものゲーム内交友関係を形成すると指摘する。電通は、これを従来型ソーシャルメディアから参加型ソーシャル体験へのシフトを示す兆候と位置づけ、「従来のプラットフォームが“観察”を中心に設計されてきたのに対し、ゲームは没入感・インタラクション・アイデンティティを軸に設計されている」と論じる。
88%がリラックスを目的にゲームを楽しむ一方で、4分の1は主に友人との交流を目的にしている。こうした“ソーシャル志向”のプレイヤーは、他のゲーマーに比べインドネシア出身である確率が 13%、中国出身である確率が 12%高く、ラップトップでのプレイが 33%、PC でのプレイが 32%高いという特徴も浮かび上がった。
ゲームは消費行動にも影響を及ぼす。プレイヤーの 68%が、映画や書籍をきっかけにゲームを試し、49%がゲームと映画などメディア横断の拡張によってフランチャイズへの好感を強めると回答した。マインクラフトを題材にした「A Minecraft Movie」が公開週末に世界興収3億100万ドルを上げ、ゲーム側のデイリーアクティブユーザーが週比17%増となった事例は、その象徴である。電通は「ゲームはファンダムが“存在”する場ではなく、“深まり・広がり・定着”する場だ」と断じる。
Z 世代ファンダムを取り込むには、エンタメ IP をゲームフォーマットへ拡張する戦略が有効だ。調査によれば、世界の消費者はフランチャイズ IP のゲーム化によって、そのフランチャイズに対し 10 倍もの好意度を示す可能性がある。また Z 世代とミレニアル世代の約半数は、ゲーム中に物理的製品を購入することへ関心を寄せている。Twitch 視聴者の 44%は、好きなストリーマーの推奨理由で製品を購入した経験があると回答しており、コミュニティ内のデジタル口コミが強い説得力を持つことを裏づける。
2024 年、全ライブストリーミングプラットフォームで視聴された総時間 89 億時間のうち、67%のプレイヤーが「お気に入りストリーマーと提携するブランドを検討する」と答えている。電通は「ブランドは常にコミュニティの一部であり、その声に耳を傾け共創すべきだ」と提言する。
ゲーム市場はすでに年間 1,839 億ドル規模で、音楽・映画を凌駕する。しかしメディア投資に占めるゲームの比率は 5%未満と小さい。電通ゲーム部門責任者ブレント・コーニング氏は「ゲーム戦略の策定は 15 年前におけるソーシャル戦略策定と同義であり、将来これを欠くマーケティング計画は容認されない」と警告している。(出典:電通、Media Post)
レポートは以下より:https://www.dentsu.com/reports/dentsu_2025_gaming_trends_report